選挙の速報を伝える現地TV 左端が躍進したPTIのイムラン・カーン党首、その右隣が大敗したPML-Nのシャパズ・シャリル党首

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元首相の身柄拘束で揺れるパキスタンでは、7月25日、任期満了に伴う総選挙(下院342議席)が行われた。
女性及び非イスラム教徒枠として各党に比例配分される特別枠70議席を除く、272選挙区で投票が行われ、翌26日午後11時現在で、過激派組織ISによる投票所周辺で起きたテロなどで開票が遅れている2選挙区をのぞく270選挙区で大勢が判明した。
開票の結果、与党PML-N(パキスタン・ムスリム連盟ナワ―ズ・シャリフ派)は157議席(特別枠を含む)あった議席を63議席まで、大幅に減らし政権から離脱する一方、クリケットの元スター選手で軍に近いイムラン・カーン氏率いる野党第二党のPTI(パキスタン正義運動)が35議席(特別枠含め)から一気に119議席まで大きく躍進させた。
今回の選挙におけるイムラン・カーン氏の人気は絶大で、一人の候補者が複数の選挙区に立候補ができるシステムを利用して、同氏は、イスラマバード、ラホール、ミヤワリ、バンモブの選挙区にそれぞれ立候補し、いずれも大差で勝利した。ちなみに当選を行使できるのは1選挙区で残りの3選挙区は後日、再選挙となる。
大勝したPTIだが、政権を奪取する過半数137議席には達せず、無所属で当選した16名のうち11名を取り込み、また少数政党4党の12議席を加えた142議席で連立政権を成立させるべく、現在交渉を行っている。
大敗した与党PML-Nや各主要政党は今回の結果を拒絶し、選挙のやり直しを求めている。
選挙の鍵を握るパンジャブ州のチニオット市NA-100選挙区には、長年日本で中古車輸出及び飲食業を展開するパペラトレーダスのシェイク・カイザー氏が果敢に挑戦したが、惜しくも敗れた。
PML-Nの日本代表も務めていた同氏は敗因について「公認調整が難航し、選挙1ケ月前に高齢を理由に引退をにおわせていた現職が急遽、立候補を表明、公認を得られなかったことが大きく影響してしまった」と語った。またシャリフ元首相が資産隠しで有罪となり、追い風となったPTIの候補へ票が流れてしまったことも影響したようだ。最終的には、同選挙区はPML-Nの地盤の強さが発揮され、現職が当選している。
ソウイング 中尾聡社長寄稿