AIMVIAの幹部ならびに関係者から中古車輸入に関する展望を聞く

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NAK(日本オートオークション協議会・澤田稔会長)は10月18日から23日までの6日間、オーストラリアの中古自動車流通市場を視察した。
視察団一行はオークション会場の代表者、NAK関係者、マスコミなど13名が参加した。現地では、日本貿易振興機構(ジェトロ)シドニー事務所を訪問し、担当者とブリーフィングを行ったほか、オーストラリア最大の中古車オークショングループであるピクルスオークション(Pickles Auctions)、南半球最大のホンダディーラーであるスコッツホンダ(Scotts Honda)を視察訪問した。また、輸入自動車組合であるAIMVIAのJack Sandher理事長ら幹部を招き、現地の中古自動車流通市場の最新情報について説明を受けた。
また、全ての訪問先においてNAKの活動内容が説明され、国境を越えた相互理解を深める貴重な場となった。
【オーストラリアにおける経済状況とビジネス環境について】
オーストラリアは人口2405万人で自動車(新車・中古車)を扱う企業は、4609社、従業員数6万8457人、自動車の保有台数は1600万台となっている。(2015年)
同国は中国を始めとする経済原則にある資源価格の下落があるにもかかわらず、前年比2.9%の増加と25年連続の経済成長を続けている。こうしたことから、一人当りの可処分所得が高く、富裕層が多い一方で、最低賃金が17豪ドル(時給1360円)と、物価高で高コストの国である。
また、中古車関税撤廃に関する法案は、政権が変わり、現在起草段階であるが、2017年3月までに本法案が通過すれば、2018年4月から初度登録から1年以内の中古車に関する関税(1万2000豪ドル/台)は撤廃されることになる。中古車関税撤廃に関しては、環境面、保証面、整備面、問題発生時に誰が対応するのか、走行距離メーター改ざんのリスクなどで、反対派も存在するが、AIMVIA(オーストラリア輸入自動車組合)は、本法案を支持している。理由は、顧客の商品選択肢が増えることで、企業間における健全な競争が促され、価格面などで消費者が有利になるからである。また、登録から1年以内の中古車では、新車との価格差が少ないということもあり、5年以内まで認めるべきという声もあがっている。
【中古車流通市場とAIMVIAの取組みについて】
AIMVIA(Australian Imported Motor Industry Association)は、自動車の輸入、手続き、および販売に関して、国際物流企業、船会社、検査機関、輸入業者、専門業者、小売業者、ならびにニュージーランド、アメリカ、日本の輸出業者などの会員で構成される輸入自動車組合として設立された。主な活動内容としては、自動車基準法改定に関して政府・関係機関等の幹部に対する協議の場を求め、継続してロビー活動を展開している。オーストラリアは従来、新車を中心とした国内市場であったため、輸入に関する規制やコンプライアンスはとても厳しく、オーストラリア全土で140ヶ所のコンプライアンスセンターが存在している。現在、オーストラリアに輸入されている中古車は年間で約7800台あるが、その大半はエルグランド、エスティマ、アルファードなどの車種を対象に、現行法の抜け穴であるキャンピングカー登録をして輸入されているのが実情である。
AIMVIAとしては、政府が定める安全基準などに基づき、中古車輸入の拡大を目標に政府筋へのアプローチを継続している。(取材レポート・松沢章博)