ウラジオストクレポート - グーネット自動車流通

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ウラジオストクレポート

企業・団体 2015年07月08日
ロシア研修に帯同して
会社名:荒井商事

 アライオートオークションを運営する荒井商事(神奈川県平塚市・荒井亮三社長)は毎年、社員を対象に海外研修を実施している。
 同社の事業領域は自動車オークションにとどまらずスーパーマーケットなどの流通や食品・飲料販売・貿易事業など多岐にわたっている。それに伴い研修で訪れる国は様々である。昨年は、マグロ養殖事業を行っているポルトガルやホテル事業を行っているブラジルの他、アメリカ・ミャンマー・台湾を訪問するなど、事業に伴う研修、視察で各国を訪れている。
 今年も5ヵ国個別の研修を実施しているが、中古車市場の視察のテーマとしては、ロシアのウラジオストクを訪問。メンバーは荒井亮三社長を筆頭に顧問と選抜社員3名の合計5名が参加した。

 ウラジオストクはシベリア鉄道の終点駅としても有名だが、ロシアの自動車産業の中心都市としてロシア政府の期待の大きい街。人口はおよそ60万人と極東ロシアでは最大の都市である。
 ロシアへの中古車輸出は、2008年には年間50万台超が、2013年は17万台弱にまで落ち込んだが、それでも日本からの国別中古車輸出先はほぼ毎年ロシアがトップとなっていた。しかし、2014年以降、石油価格の下落やウクライナ問題により、ロシアの通貨であるルーブルの価値の下落により、ロシアへの中古車輸出は大きく減少。今では2013年の半分以下の5000台/月と減少の一途を辿っている。

 この状況を受け、日本でも「ロシア向けの輸出はもう終わりでは」の声も聞こえる中、荒井商事とそのビジネスパートナーであるSUMOTORI社一行に帯同し、ウラジオストクで見てきた状況を報告する。

 【ウラジオストクの現状】
 市内を走っている車のほとんどが日本車。車種はランドクルーザーをはじめとした大型SUV車が目立つが、セダンやコンパクト車も多く走っている。年式は、高年式から低年式まで幅広く、車種によっては日本では見掛ける機会の少ない2世代前のモデル車も走っている。中には、フロントバンパーが欠落している車も走っており、低年式車が多く外装はさほど重視していない様子が伺える。

 SUV車が多い背景には、道路事情も大きく影響している。幹線道路を中心にほとんど舗装されており、市中心部はさほど気にならないが、高速道路でも路面の悪い道路が目立ち走破性の高い車の方がより利便性を発揮できる状況にある。

 【グリーンコーナーの現状】
 『グリーンコーナー』はウラジオストクの中古車市場の役割を果たしており、丘陵地一帯に所狭しと車が並べられている。並んでいる車は日本車が中心。市内を走っている車のほとんどが日本車であるように日本車の人気は高く、日本で使用されていたことを証明するかのように日本のオークション会場の出品票がそのまま表示されていたり、日本の雑誌を見える場所に置いたりするなど『日本車』をアピールしている車が散見された。

 グリーンコーナーでの売買は、基本的に個人間売買であり、フロントガラスに車の仕様や金額、電話番号が記されており、欲しい車を見つけた場合は個人に直接電話をかけ取引する。中には、車の中で売主が待機し、訪れた客と直接その場で交渉する人も見えた。

 グリーンコーナーは、最盛期に3万3000台程の車が並んでいたが、現在は5000台程度とその規模は大きく縮小している。
 グリーンコーナーの多くの車が集まっているということが最大の利点であったが、今やその台数も減少し、車両状態がわからない等のデメリットの部分が目立つようになっている。

 グリーンコーナーに展示する上で、土地の所有者に車1台ごとに展示料を払う形をとっているが、グリーンコーナーをここ数年のうちに売却する話もあり近い将来に無くなる可能性が高い。また、ロシアでは本来右ハンドル車は禁止であるため、日本車の輸入は今後ますます厳しい状況に置かれることが予想される。

 【新たな自動車市場の創出】
 荒井商事のビジネスパートナーとして今回ウラジオストクを案内してくれたSUMOTORI社はロシアの自動車流通を大きく変える可能性を秘めている。
 SUMOTORI社は、新車輸入販売、商用車販売、サーキット会場の運営やドリフトのイベントを開催するなど、10社のグループ企業で構成されている有力な企業である。
 新車販売はスズキ・マツダ・スバル・フォード・キア・VWの6メーカーのディーラーとして、商用車販売は日野・JCV・ボルボのディーラーとして活動している。トラックは車体組み立てや中古パーツ販売も行っており乗用車から商用車まで事業を展開している。

 中でも『AUTOPORT(オートポート)プロジェクト』と呼ばれる中古車事業では、極東ロシア初の現代的中古車販売センターを設立。2012年に開催されたAPECまで使用していた旧ウラジオストク空港の土地建物を活用し、3000台規模の中古車販売センターの実現に取り組んでいる。

 オートポートは、今年の4月から本格的に営業を開始。中古車は、SUMOTORI社が新車を販売した際の下取車や中古事業者からの持ち込み車両、リースアップ車を展示、販売している。
 また、車の売買と併せ、建物内には保険会社や銀行、登録の事務所もあり、お客様にとってはワンストップで完結する便利な形になっている。

 SUMOTORI社のヴィタリー代表はオートポートについて「中古車のオーナーが車を持ってくるなら『ここ』という場所にしたい。ロシアのビッグカーマーケットとしてオートポートをグリーンコーナーに変わる中古車の取引市場にしたい。
 グリーンコーナーは大規模な中古車市場であったが、今は規模が縮小している。その流れを受けてオートポートをグリーンコーナーに変わる近代的で透明性の高い中古車の取引センターにしていきたい。
 グリーンコーナーは、業者が車を置いて個人を相手に売買するという並べて売る商売。オートポートは、組織化されていない市場ではなく組織化し、入ってきた車を検査し車のリストを作成し、問題点をお客様と話をし、全部開示する。その上で値段をつける。組織化された透明性の高い取引を構築しているのが大きな違い。
 グリーンコーナーの場合、買いに来るお客様の5割が地域外の人。オートポートは空港の近くであるため、飛行機や電車を使う人にとっても駅から40分でくることができ便利な場所。
 現在の販売台数は、中古車のみで月20台。今はルーブル安などで車の生産台数は減っているが上手く回れば、200台から300台の販売は見込める」と語った。また、「沿海地方の自動車保有台数は人口1000人あたりロシアのトップでありモスクワの2倍。ウラジオストクをロシアにおけるクルマの首都にしたい。夢は、ロシア全土にオートポートを拡げたい」と語った。

 【ロシア市場の今後】
 グリーンコーナーの縮小に伴い、オートポートのような整備やサービスを施した日本型とも言える売買が中心となってくる可能性が高い。一方でロシアの経済状況や低年式のクルマが高額で取引されている現状からも新車販売が急激に伸びることも考えにくい。そうなるとグリーンコーナーに代わる個人間売買の場としてインターネットが注目されており、前述のSUMOTORI社もロシア最大の個人間売買サイトとの提携を予定しているなど、現車を見ない取引が活発になることが予想される。
 SUMOTORI社のヴィタリー代表は日本のオークションは参考になると語っており、車両状態を開示し、現車の状態を把握できるようにすることで安心して取引できる環境が整備されていくであろう。また、ロシア国内の販売からロシアを起点とした他国への販売もルーブル安を受け、増えていく話もあり、ブランドとなっている日本車を軸に販売の方法は変化していくことが予想される。

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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること