コラム ユーザーニーズの追求が必要
皆さんは、三洋電機が11月11日に発売する「GOPAN」というホームベーカリーをご存知ですか。通常のホームベーカリーは小麦粉を原料として焼きたてのパンを作るものを、発想を変え、米粉ではなく「米」を使ってパンを作れるというスグレモノ。
同社は、20年以上前に米粉を使うホームベーカリーを発売していましたが、スーパーなどで原料の米粉が小麦粉より高いため、ほとんど売れなかったそうです。
しかし、家電事業部の開発者が諦めずに、試行錯誤を繰り返し、米・水・塩・砂糖・ショートニングを分量通りに入れるだけで焼けあがるように改良した。結果、実勢価格が5万円。ホームベーカリーとしては高額にも関わらず、予約が殺到しているそうです。
本来は10月に発売予定だったのが、注文に対応できず11月に延期されたという。メーカーにとって嬉しい誤算となっている。インターネットで検索しても報道の通り「予約受付中・入荷日未定」と表示されていた。
開発に成功した裏には秘話があり、米を知り尽くした同社の炊飯器チームから米の粉砕方法についてヒントを得て、米をこねる羽の回転方式には電動自転車チームからアドバイスを受け、不可能と思われた問題点を解決している。正にチームワークの勝利と言える。
この商品がこれほどの反響を呼んでいる理由は二つ、消費者の「美味しい焼き立てのパンを安く食べたい」というニーズを見事に捉えたことと、テレビや新聞などマスコミで大きく取り上げられたため、一気に認知度が高まったことが上げられる。
いくら優れた商品でも消費者が受け入れずに市場に埋もれてしまえば、日の目を見ることなく消え去ってしまう。やはり、成功するためには、ユーザーリサーチとより多くのユーザーに認知させる戦略は欠かせない。
この三洋電機の成功例を見て、自動車販売にも同じことが言える。このクルマを知らない人は居ないだろう。この機能が付けば売れるだろう。この過信が今の自動車の失速を招いている。車が仕事と生活に必要な人に、車名ではなく「エコカー」というキーワードが最優先でクルマを選び、買うように変化してしまった。
しかし、エコカーは「燃費がいいので経済的」という負担が少なく済むという魅力のみで、毎月負担が大きいローンを組んで買うには何か物足りない。一番肝心な「乗ってみたい」「欲しい!」と思わせるものが欠けている。
今、家電量販店で液晶テレビの売り場を見ていると電気代が安く済む省エネタイプではなく、価格が高い画面に迫力がある3D機能付きテレビや40型以上の大型が一番売れている。
(倉元)
オークション一覧へ
企業・団体一覧へ
整備一覧へ
板金一覧へ
店舗情報一覧へ
ひと一覧へ
コラム一覧へ
相場統計一覧へ
新製品一覧へ
中古車ランキング一覧へ