【特集】「大変革期」厳しさが増す中古車業界 - グーネット自動車流通

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【特集】「大変革期」厳しさが増す中古車業界

コラム 2025年12月26日
将来を見据えた「戦略」を今こそ考えたい

 2025年に入り、中古車販売店の倒産件数が「過去最多」というニュースが飛び込み、われわれ業界向けマスコミ各社も中古車販売店の将来展望について、真剣に向き合う機会が増えている。「少しでも販売店のお役に立てる情報が提供できないか」「危機感を煽るのではなく、この転換期をいかに乗り切っていけば良いのか」などが主なテーマだが、自動車流通新聞では、ユーストカー社との協議により「中古車販売店の現状をリポートしたい」という思いが一致、秋ごろから共同取材という体裁で、聞き取り取材やアンケートなどを実施している。ユーストカー社「ユーストカーニュース11月号」で先行して報じていただいたが、今号では自動車流通新聞の独自の分析などを踏まえ、中古車販売店の現状と今後の対策について考えた。(室田一茂)

【中古車販売店の倒産件数は過去最多を更新】
 東京商工リサーチの調査では、25年1~9月の中古車販売店倒産件数が82件に上り、同期間では過去10年で最多の実績、年間最多を記録した18年の93件を更新するペースで推移している。とりわけ今夏以降は中古車小売りの不振やオートオークション(AA)などでの仕入れ難に拍車がかかっているという声も多き聞かれる。その背景には中古車輸出市場の活況があり、25年暦年の中古車輸出台数は24年実績の156万6621台をはるかに上回るペースで、160万台超えは確実、場合によっては170万台に届く可能性も示唆されている状況だ。

【販売店の利益状況は意外にも「良い」「非常に良い」が全体の49.9%】
 プロトコーポレーションが全国でヒアリング取材した結果が紹介したい。「お店の利益状況はいかがですか」という問いに対して「非常に良い」が6.2%、「良い」が43.7%、「普通」が31.3%、「少し悪い」が18.8%という結果だった。念のため用意した「大変悪い」という項目はゼロだった。「非常に良い」「良い」の合計が49.9%と、ほぼ過半数に及んだことは驚きだった。ヒアリング取材という手法のため、あまり悪い回答がしづらかったという見方もあるが、「普通」と回答した販売店も3割強で、市場環境自体は決して楽観視できる状況ではないので、販売店各社が創意工夫しながら堅実に「利益」を捻出している現状が目に浮かぶ。

 利益状況が「非常に良い」「良い」という販売店にその中身を聞いた結果を並べてみたい。
 「管理ユーザーの代替がうまくいっている。顧客からの紹介が多い」
 「特殊車両を扱っているため、売れたら儲かる」
 「下取り、買取で利幅を稼げている」
 「小売り1台あたりの粗利の上昇。良質車の下取り、AAの相場高騰」
 「トラック、輸入車の販売増が貢献」
 「在庫を増やした。整備単価を上げた。法人顧客が増えた」
 「スタッフを増員した」
 「下取り価格を抑え、AA出品で利益に転換した」
などが主な要因として、聞き取った内容だ。注意しなければならない点は、良い回答をした販売店のほとんどが「中古車小売り台数を伸ばした」「中古車小売りで利幅を拡大することができた」などの中古車販売店の原点である「小売り」での利益確保ではないという点。一部の販売店ではこうした中古車小売り強化による利益創出に手応えをつかんでいるが、ある程度の会社規模がある販売店が営業スタッフを増員するなどして、販売台数を伸ばしたことによるもの。中古車小売り1台1台の利益は確実に減少しており、台当たり利益が10万円以下という販売店も少なくなく、かなり心配なヒアリング結果だった。資金力のある中堅規模以上の販売店がこうした前向きな経営体制強化を推進する中で「車販」だけに頼らない経営体制の確立こそが今後必要な「経営戦略」になることは明らかだ。

 北関東エリアで4店舗を展開、中古車の月販台数100台規模の販売店では「小売りだけでは利益確保は難しい。リースとローン、新車販売を重点的に強化」とするなど、利益確保において、中古車販売に集中しない利益創出を推進している。

 福岡県で月販45台規模の販売店は「低走行車が高く、過走行のクルマにも状態を見ながら仕入れの幅を広げている。販売台数が伸び悩む中で、鈑金・塗装やサービスの強化など、周辺部門強化を推進している」という。

 一方で、アンケート回答が「普通」「少し悪い」だった販売店の声はどうだろうか。
  「中古車ユーザーが減った。価格が高くなった中古車、特に高年式車に手が出ないという声もある」
  「仕入れ原価が上がっている。回転率を上げるため、長期在庫車を処分するなどして利益率は下がっている」
  「買取価格、仕入れ価格の高騰により利益が減少している」
  「仕入れ環境は悪いが利益自体は確保できている。横ばいにするのが難しい状況下だが、何とか営業努力でカバーしている」
  「仕入れ高騰などにより、小売りだけで利益を確保することは難しい」
が主なコメントだが、これを見ただけでも中古車販売店の仕入れ環境が急激に難しくなっていることが分かる。高騰する仕入れ相場とディーラー、大手専業店との競合などで、多くの中古車小売り店舗が難しい経営を迫られている。

 こうした状況の中で、販売店各社はどのような戦略を立てているのだろうか。
  「整備スタッフの増員を考えている」
  「管理客との関係強化と電話による代替促進提案を推進」
  「これまで以上に管理客を増やすか。(新規ユーザーを獲得するための)広告と合わせて管理客への訴求を強める」
  「仕入れルートの開拓。AAだけでなく、買取りや下取りも強化していきたい」
  「スタッフを増員し営業人員を増やしたい」
  「基盤客の流出を防ぐとともに、買取り案件の発掘活動を推進」
  「法人客へのアプローチを強めていきたい」
  「売り方の幅を広げるため、リース販売などにも注力するほか、SNS活用なども検討している」
  「リース販売を始めた。今後はレンタカーにも注力していきたい」
  「サービスに注力していきたい」
  「販売車両に付加価値をつける。仕上げなどで手間をかけ、商品価値を高めたい」
  「中古車リースに注力したい。リースを増やすため社員教育を重点的に行い、今までに取り扱わなかった車種、ジャンルの小売りにも注力する」
代表的なコメントを並べたが、その大半は車販以外の収益を高めることで利益確保を目指す動きだ。一方で、車販自体でしっかりと利益を確保していきたいという正統派のコメントもあった。
 
【最後に】
 「倒産件数が過去最多ペース」という衝撃的なニュースが発信されるなど、ここ数年は特に中古車販売店の経営を取り巻く環境が確実に厳しさを増していることは事実だ。円安などを背景とした中古車輸出市場の活況だけを見ると、日本の中古車は素晴らしい商品だということは分かるが、これによる国外流出は国内中古車市場にとって、大きなダメージ。コロナ禍以降は新車の供給遅れなどが影響し、新車ディーラー各社の中古車小売り強化の流れや存在感が増す大手中古車販売店の攻勢に押される状況にある。

 ただ、会社規模に関係なく、将来を見据えた確かな「戦略」を実践している販売店の業績は堅調に推移している。人員の増強や周辺部門の強化など、車販に頼らない経営体制の構築を進める販売店や小売りにおける付加価値訴求など、これまで以上に1台1台の中古車を大事に売り、台当たり利益の創出を目指している。今は「大変革期」の真っ只中、将来を見据えた「戦略」を今考えなければ、5年後、10年後の存続が難しくなってしまう。多くの販売店にこの難局を乗り切ってもらいたい。

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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること