【特集】2024年度の自動車業界を振り返る - グーネット自動車流通

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【特集】2024年度の自動車業界を振り返る

コラム 2025年04月23日
激動の時代に求められる変化への対応

 2024年度(24年4月~25年3月)の自動車業界は、自動車業界は前年度からの回復基調を強め、力強い成長を見せた。半導体不足の解消と新車メーカーの生産安定化により、新車販売は大きく回復し、市場は活況を呈した。電動化へのシフトは加速し、外国メーカーを中心に新たなEVモデルが投入された。政府の補助金や充電インフラ拡充が後押しとなり、消費者のEVへの関心と購買意欲は高まった。CASE技術の開発競争も激化し、より安全で環境に優しいモビリティ社会への動きが加速している。一方で、世界的なインフレや原材料高騰は製造コスト上昇を招き、価格転嫁の動きも顕在化している。また、カーボンニュートラルに向けた規制強化は、各メーカーに技術開発や戦略の見直しを迫った。国内市場では、高齢化や若者の車離れに加え、都市部の公共交通機関充実などが販売動向に影響を与えている。各社は多様な車種展開や残価型クレジットなど新たな販売形態で対応した。前年度の不正問題は消費者の信頼を揺るがし、各社は再発防止とコンプライアンス強化に努め、企業倫理が改めて問われる一年となった。本稿では、激動の24年度における自動車業界の動向を、データと関係者の声を通じて分析する。変革の波の中で、自動車業界は未来へどう進むのか。その潮流を読み解く。(福井伸幸)

【前年を微増ながら上回った新車販売】
 24年度の新車販売台数(軽自動車を含む、日本自動車販売協会連合会発表)は、3年連続で前年の販売台数を上回り、前年比1.2%増の458万4943台となった(図①)。
 23年に起きたダイハツ、豊田自動織機の相次ぐ認証不正問題から生産が落ち込み、新車販売に大きな影響を与え、24年度の前半は前年を下回る実績で推移した。しかし、7月以降は徐々に回復し、25年1月から3月の第4四半期では、前年比14.5%増の高水準で推移した。
登録車と軽自動車別に見ると、登録車は294万8294台(前年比1.6%増)と微増した。24年4月から6月は前年を下回ったものの、7月以降は回復していった。一方、軽自動車は163万6649台(同0.7%増)とほぼ横ばいであった。ダイハツ不正問題の影響で24年4月から12月まで、7月を除き毎月前年を下回っていたが、25年1月以降の増加により、前年並みの実績を確保した。
 業界関係者からは、「昨年度の販売は堅調、受注枠も早々に埋まる一方で、納期に時間を要する状況が続いた。今年度についてはトランプ関税もあり、先行きは不透明になった。特にアメリカ向けの輸出は台数が多くないとは言え、売りづらくなることは間違いない。輸出から国内需要の高まりへと潮目が変わると良い」(東北地区ディーラー関係者)や、「新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻を起因とした原材料の供給不足による生産遅れが、不正問題の発覚によってより顕著となり、納車時期遅れが販売に大きく影響した。後半は徐々に回復していったが、年度を通じて生産の不安定が販売に直結する厳しい1年であった」(東海地区ディーラー関係者)と、生産遅れが販売に影響を与える声が上がった。また、米国の関税政策が日本国内の新車販売に与える影響は未知数であり、25年度の実績に大きな衝撃を与える可能性もある。

【前半は好調、後半は苦戦の中古車販売】
 24年度の中古車登録台数(日本自動車販売協会連合会調べ、24年4月~25年2月)は、4月以降、新車生産の遅れから中古車需要が高まり前年を上回る実績で推移したが、生産が回復するとともに需要が落ち着きを見せ、前年並みとなった。2月時点での登録台数は322万台を超え、3月の登録台数が前年と同じ40万台強であった場合、24年度は364万台を超え、23年度の360万台を約4万台上回ることとなる。
 一方、軽自動車(全国軽自動車協会連合会発表、24年4月~25年2月)の軽四輪車中古車販売台数は、2月時点で約247万台であった。23年に発覚したダイハツの不正問題から新車生産が大きく減少し、中古市場に流通する高年式車両が減少した。登録車同様、3月の実績が前年並みで推移した場合、年度実績では約282万台となり、前年を約2万台下回る。24年度の中古車登録総台数は、登録車は前年実績を上回るものの、軽自動車は下回る見通しである(図②)。
 業界関係者からは、「24年度は人気・希少車が高騰する一方で燃費の悪い旧型車は需要が低迷した。25年度は新車市場の影響で中古車価格が適正化に向かうものの、電動車価格はバッテリー状態や充電インフラに左右され、消費者ニーズの多様化から車種の二極化が進むと思う」(首都圏中古車専業店)や、「昨年は厳しい印象だったが、年明けの初売りでは思いのほか好調だった。ただ、ユーザーの購買意欲が低いことは体感している。新車の供給も回復傾向にあり、中古車購入の割安感も出せない仕入れ環境の中で、苦戦を強いられている」(九州地区の中古車専業店)、「中古車はタマ不足には悩まされたが、販売は堅調であった。急を要する車種については新車の納期を待てないため、新車価格と同等、または上回る金額で売れるケースもあった。販売は好調と言えるがタマ不足が中古市場に大きく影響を与えていると感じる」(東北地区ディーラー関係者)など、新車生産の影響が中古車販売に大きく影響した1年であったという声が聞かれた。

【成約率低下に移行したAA市場】
 24年度の国内オートオークション(AA)実績(主催者発表速報値集計、プロトコーポレーション調べ)は、総出品台数が前年比1.9%減の762万5938台、成約台数が同1.4%増の525万7544台、成約率は同2.2ポイント増の68.9%という実績であった(図③)。
 AAにおいても中古車販売と同様に、新車生産及び新車販売台数に大きな影響を受けた。出品台数は新車生産が落ち込んだ4月から9月までの6ヶ月間は前年を下回ったが、新車生産が回復し始めた10月以降3月まで、卸ダマの増加により前年を上回る結果となった。成約については、タマ不足が顕著に表れ、4月から11月まで8ヶ月連続で前年を上回った。この間、AAでの平均落札単価が急騰し、中古車販売店の仕入れを困窮させた。新車生産が落ち着きを見せ始めた下半期以降は、中古車需要も落ち着いたため、成約率も下降傾向にあり、12月から3月まで前年を下回っている。
 業界関係者からは、「上半期は成約率が高いことから流札による再出品が少なく、出品台数の確保に苦戦したが、秋以降は成約率下落の傾向が顕著になり、再出品が増加している。出品台数の確保はできるようになるが、あまり増えすぎると出品車ヤードの問題が出てくる。ここ数年、急激な変化が多く、対応に困窮することが多い」(東海地区AA関係者)や、「年度末にかけて成約率・成約単価が下降傾向に入り、再出品の増加により出品台数が高水準で推移している。3月は決算期という要因も加わり、大手専業店の買い意欲も弱まり、難しい状況である。4月以降は供給過多の状況も少しずつ弱まり、GW明け以降は夏枯れの傾向も強まり、タマ不足の状況に反転する可能性が高いと見ている」(近畿地区AA関係者)との声が聞かれた。

【輸出は過去最高を記録した前年度並みで推移】
 日本中古車輸出業共同組合発表の中古車輸出台数を見ると、24年4月から25年2月の中古車輸出台数は、過去最高輸出台数を記録した23年度を約3万台下回る約142万台(前年比2.1%減)で推移した。3月の結果が前年と同数の約15万台の場合、年度で156万台を超える見込みである(図④)。
 業界関係者からは、「アメリカの関税発動の可能性を受け、アメリカ向け輸出車両の価格が高騰している。ニュージーランドは景気低迷の影響を受け、輸出は厳しい状況である。輸出業者の中でもニュージーランドから他国へ目を向ける傾向が顕著になってきた」(大手輸出業者)や、「4月からの販売は好調でしたが、7月から9月にかけての急激な円高ドル安の時期は、新興国を中心に為替による販売減を余儀なくされた。しかしながら、通期で見ると販売増に転じているため、世界における中古車需要はまだまだ活況にあると言える。国内における中古車価格の上昇に加え、原油価格や人件費の高騰による輸送価格の高騰が懸念材料としてあり、販売増による港での保管スペース、船枠の確保も課題である」(大手輸出業者幹部)、また「アメリカの輸入関税増加・為替推移(円高傾向の可能性)という輸出台数減少の可能性がある」と、好調を維持しながらも課題を指摘する声が聞かれた。

【変革が求められる自動車業界】
 24年度は新車生産の不安定が新車販売を始め、中古車販売、AA市場に多大な影響を与えた1年であった。原材料の価格高騰や労働人口の減少による人手不足、円安傾向が続く為替など、不安材料が多い中、各事業者は変化の波に対応しながら、新たな技術や販売戦略を模索し、持続可能な成長への道を切り開かなければならない。

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4、4.5点

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毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること