さまざまな変化を示した2010年 2011年も「おもてなしの心」で閉塞感の打破を ベイオーク
ベイオーク（大阪市住之江区）は昨年、大きな変化を社内外に示した。
５月に柏原一郎氏（現会長）から社長の座を塩原淳平氏にバトンタッチした。塩原社長は48歳という若さと持ち前の行動力で会場経営に勤しむ。同会場は全国でも屈指の歴史と伝統を持つＡＡ会場。黎明期における組合体制の確立、いち早いポスシステムの導入、成熟期において経営のスピードアップを目指した株式会社化など、その時代に合わせて設備投資や体制変革などを実施してきた。従来から掲げる「お客様第一主義」という運営方針を堅持し、商品車取引というＡＡ本来の基本的な機能面の強化に取り組んでいるほか、同社の顧客である会員をもてなすための取り組みにも力を注いでいる。
ハード面では、ＡＡシステムの大規模なリニューアルを実施。４レーン化によるセリ時間の大幅短縮、写真点数の増加、「前ワンプラ」の導入などを実施した。
営業面では、出品料を１万６０００円にする代わりに成約料を無料とすることで売約時の出品店の手数料を抑える「ぼちぼちブロック」の新設などを実施。近畿地区の会員へのアプローチ強化、地方会員の掘り起こしによる外部応札からの参加誘引も積極的に実施。
運営面では寅年にちなんで本物の虎を初荷ＡＡで招聘。会員向けの視察研修旅行「上海エリアミーティング」を実施したほか、学生マルシェ（学生が運営する農産市場）とタイアップして会場内で農産品販売の実施、廃ペットボトルによる巨大クリスマスツリーの設置など、ハード・ソフト両面において様々な取り組みを行った。
これらの取り組みのベースとなっているのが、「会社経営は人ありき」との考えだ。塩原社長は上意下達型の組織よりもスタッフが自らの頭で考え行動する自律型運営を理想に掲げ、社員にも変化を求めた。社員は当初こそとまどいながらも、その考えを理解し浸透しつつある。様々なイベントの多くは、社員の自発的な提案によるものだ。サッカーＷ杯の日本代表を応援するために全スタッフが特製Ｔシャツを着用したり、納涼イベントで女性スタッフが浴衣姿を披露、ハロウィーンイベントにおける仮装、クリスマス時期においてサンタクロースの着ぐるみ着用したりと、力が入っている。いずれも、上からの強制ではなく、来場者をもてなしたいというスタッフの自主的な考えによるものという。
新車販売の低迷と、それに伴う流通台数の減少など、中古車市場を取り巻く環境は厳しさを増しているのは周知の通り。業界全体が閉塞感にさいなまれ、業界関係者の表情も曇りがち。経費削減のため、特別企画に割く出費を抑える向きも少なくない。そういった厳しい状況下でも顧客をもてなしたいという気持ちを胸に、様々な話題を提供し続けている同会場は希少な存在。これらの意欲的な取り組みが奏功し、運営面に好影響をもたらすことに期待したい。
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