【中古車市場の活性化と業界の健全化を目指して 対談企画①】日本自動車購入協会(JPUC)井上貴之代表理事 × プロトコーポレーション 白木 享 社長
自動車流通の「信頼」を可視化する ~価格競争からサービス競争への転換~
会社名:日本自動車購入協会(JPUC)・ プロトコーポレーション
2025年の中古車輸出市場は円安持続などの背景もあり、史上初の170万台を突破する驚異的な数字を記録した。国内流通もこれに牽引される形で活況を呈しているが、一方で業界を揺るがした不適切事案により、消費者の視線はかつてないほど厳しくなっている。情報の非対称性を解消し、いかにして「選ばれる業界」へと進化を遂げるべきか。プロトコーポレーションが新たにリリースを予定している「グーネット買取」の背景にある、健全化への強い意志をJPUCの井上貴之代表理事と、白木享社長が語り合った。
▪信頼の再定義:トラブルの質的変化と業界の危機感
白木:多くの情報を扱うメディアの立場から昨今の中古車業界を俯瞰すると、消費者の視線は明らかに変化しました。かつてのような「憧れの車を探す」というワクワク感よりも、まずは「この店、この情報は信じられるのか」という疑念や不安から入るユーザーが増えています。車という高額で感情が入る買い物だからこそ、情報の透明性がこれまで以上に求められています。
井上:JPUCを設立した12年前、車買取現場での主なトラブルは一部の業者による強引な「押し買い」でした。しかし現在は、契約後の不当な減額交渉やキャンセル拒否といった、契約の質に関わるトラブルが中心となっています。さらに深刻なのは、JPUCのコールセンターに寄せられる相談の半分以上が、我々のルールが及ばない「非会員」との取引から発生しているという事実です。
白木:その危機の芽を見逃していたことは、メディアとしても重く受け止めています。私たちは単に広告を掲載するプラットフォームではなく、ユーザーが「この情報なら安心だ」と思える環境を整える「業界インフラ」でなければなりません。
井上:共通の危機とは、このまま不透明な取引が放置されれば、業界全体が「若者が誇りを持てない場所」になってしまうことです。JPUCは現在、活動期間の多くで赤字を出しながらも非会員のトラブル相談に応じていますが、それはひとえに業界全体の自浄作用を促し、いつかJPUCが不要になって解散できる日を目指しているからです。
▪「価格」ではなく「会社」で選ばれる時代へ
白木:今回「グーネット買取」を立ち上げた大きな目的の一つは、中古車選びを「車選び」から「会社選び」へとシフトさせることです。中古車は一物一価であり、全く同じコンディションのものは存在しません。それなのに、これまでは「いくらで買うか、いくらで売るか」という価格の数字だけに焦点が当たりすぎていました。
井上:その通りです。私はよくビジネスホテルの例を出します。かつては「安かろう悪かろう」というイメージもありましたが、現在は低価格でも高いクオリティとホスピタリティを提供し、ユーザーは「あのチェーンなら安心だ」とブランドやサービスで選びます。中古車業界も、同じ金額を提示された時に「この会社のこのサービスなら売りたい、買いたい」と思わせる「サービスメニューの競争」に入るべきです。
白木:メディアとしてそのお手伝いをするのが、情報の可視化です。支払総額表示の義務化や、第三者機関による「グー鑑定」は、目に見えない車両の状態を客観的な指標で示すために続けてきました。累計800万台を超える鑑定実績は、私たちが背負っている責任の重さでもあります。
井上:JPUCでは不適切な業者に「イエローカード」や「レッドカード」を出す自主ルールを運用していますが、これをメディア側と連動させることが理想です。例えば、レッドカードが出た業者はプラットフォーム上でも掲載を停止するといった、実効性のある仕組みです。質の高い店が正当に評価され、そうでない店が淘汰される環境を共に作っていきたい。
▪デジタル時代の安心:オンライン売買の加速とデータの標準化
白木:オンライン売買が加速する中で、実車を見ない取引も増えてくるでしょう。そこでの信頼を担保するのは、最新のテクノロジーです。ビジネスの安全性を劇的に高めると考えています。
井上:テクノロジーの活用において最も重要なのは「データの標準化」だと考えています。各社がバラバラのシステムや車種マスターを使うのではなく、業界共通の物差しを持つことで、初めてAIによる価格算出などの精度も向上します。
白木:その一環として、私たちはOBD(車載式故障診断装置)のデータを活用した「グー故障診断」の普及にも力を入れています。ハイブリッド車やEVが増える中で、バッテリーの状態やソフトウェアの不具合など、外見では分からない「見えない価値」を共通の尺度で示すことは、情報の非対称性を解消する鍵になります。
井上:査定情報の二次利用、三次利用も検討すべき課題です。一回の査定情報を業界で共有できれば、業者間の無駄なコストを削減し、その分を消費者に還元したり、サービスの向上に充てたりすることができるはずです。
▪パートナーシップが創る「選ばれる業界」の未来
白木:プロトコーポレーションは、単なる広告媒体から、中古車販売店の仕入れ・売却・小売の全てを支援するパートナーへと進化します。オークション相場が高騰し、小売り向けの在庫確保が困難な今、仕入れの主流となるオートオークションに加えて、ユーザー買取も行い経営の幅を広げ、在庫回転を早められる「車買取・販売の両輪」を支えるインフラでありたい。
井上:グーネットのような影響力のあるメディアが「健全化の旗振り役」を担ってくれることは、業界にとって非常に心強い。加盟店が「JPUCの認定店であること」や「適正販売店であること」を誇りに思い、それが消費者にとっての最強の安心材料になる未来を、共創していきましょう。
白木:私たちは、情報を正しく、丁寧に伝え続けることで「安心して選べる環境」を作り続けます。これは中古車業界の未来を守るための闘いでもあります。
井上:ブランドや知名度だけで店を選ぶのではなく、提供するサービスやアフターフォローの質で選ばれる業界へ。正しい努力をする会社が報われる、透明性の高い市場を共に実現しましょう。
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