【特集】中古車小売りの現状と分析 - グーネット自動車流通

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【特集】中古車小売りの現状と分析

コラム 2025年08月31日
小売金額、小売成約金額、AA落札金額を分析

 最近の中古車小売りで良く売れているクルマが知りたい―。今回の特集では、グーネットで2025年6月によく売れたクルマ「BEST5」の状況を解剖していきたい。グーネット掲載情報から直近半年間の「平均小売価格」や「平均小売成約金額」を抽出、法人向け中古車データベース「DATALINE PRO(データラインプロ)」からは、AAの平均落札金額(税抜)を抽出し、この半年間の動きを追った。上位車種の顔ぶれは大きく変化していないが、平均相場の変化など、月ごとの状況と合わせ、独自のデータベースを元に分析していきたい。
(室田一茂)

【6月の中古車小売台数トップはトヨタ「アクア」】
 2025年6月、グーネットを通じて成約した中古車の上位5車種は以下の通り。

 ①トヨタ「アクア」(10系)
 ②トヨタ「アルファード」(30系)
 ③トヨタ「ルーミー」(M900系)
 ④トヨタ「ヴォクシー」(80系)
 ⑤日産「セレナ」(C27系)

という顔ぶれだった。上位の常連だったトヨタ「プリウス」はランク外。この上位5車種を見ると、モデルチェンジの影響や販売始期からの年数が大きく経過、中古車としての値ごろ感が出てきている点が大きな特徴だ。2位に入ったトヨタ「アルファード」は、最新型の40系発売から2年、ようやく30系の割安感が出てきた点などが小売り台数の増加に影響しているようだ。3位のトヨタ「ルーミー」を除き、いわゆる「前型」(まえかた)の中古車が幅広く流通していることが大きい。また、現行モデルの新車の納期が長期化していることもこうした中古車の販売を下支えしている要因だ。

【中古車小売市場はディーラー中古車の存在感が強まる傾向に】
 こうした状況の中、全国中古車販売店の動向はどうだっただろうか。取材先やAA会場などでヒアリングしていると、いわゆる中古車専業店では、小売りの状況はあまり芳しくないという。「クルマを購入するユーザー自体の数が少なくなっていると感じる。数少ない新規ユーザーも大手販売店に流れている」(東海地区の中古車販売店)という。また、売れ筋も価格帯によって異なり「低価格帯の動きがいい。特に100万円以下の価格帯が好調」(首都圏の販売店)という声もあり、売れ筋上位車種の中では、1位のトヨタ「アクア」が正にこれに合致している。

【売れ筋上位5車種の平均小売価格(6月)】
 ①トヨタ「アクア」=85万円
 ②トヨタ「アルファード」=385万9000円
 ③トヨタ「ルーミー」=135万9000円
 ④トヨタ「ヴォクシー」=220万3000円
 ⑤日産「セレナ」=187万4000円

 この上位5車種の平均小売価格はこの半年間で変化しているが、最も値動きが大きかった2車種は、②トヨタ「アルファード」と⑤日産「セレナ」だった。25年1月の平均小売価格は②が432万4000円。金額にして46万5000円、下落率は10.8%だった。⑤も下落率12.6%と大きく、下落金額は27万円だった。いずれも新車供給が進んだことで、中古車市場への供給が増大、いわば「供給過多」の状況が続いたことによる下落だと、推測することができる。とりわけ②トヨタ「アルファード」は年明けから40系の新車デリバリーが加速したことで、買取り、下取り車が大量に中古車市場に流入した格好だ。

 続いて、上位5車種の小売成約金額(6月)はどうだろうか。グーネットを通じてリアルに売れている金額は以下の通り。

 ①トヨタ「アクア」=77万2000円
 ②トヨタ「アルファード」=411万4000円
 ③トヨタ「ルーミー」=139万7000円
 ④トヨタ「ヴォクシー」=222万2000円
 ⑤日産「セレナ」=195万6000円

 平均小売価格と比較すると、①トヨタ「アクア」のみが平均小売成約金額を下回った一方、その他4車種は上回る金額だった。②トヨタ「アルファード」は特に差異が大きく、新車に近い良質な中古車、場合によっては未使用車などにユーザーのニーズが強い傾向にある。新車購入意欲が高いユーザーが長期化する納期を待てずに、こうした高年式車の購入に踏み切っている様子が窺える。一方の①トヨタ「アクア」は流通台数も多く、より値ごろ感のある中古車に流れている様子だ。

 また、この半年間の平均成約金額推移を見ると、大きな波が見られた。①トヨタ「アクア」を除く4車種が5月に大きく下ブレしている点だ。業界関係者に話を聞いていると「5月はゴールデンウィーク期間を含め、客足が鈍かった。トランプ関税の影響など、社会の不安定感から消費が鈍化していたのかもしれない」(近畿地区の中古車販売店)といった社会情勢なども影響、自動車購入に躊躇するユーザーの消費行動も影響しているように感じる。 

 一方で「年度末から中古車市場への流入が加速、AA出品台数も大きく増大し、5月は高水準だった」(近畿地区のAA会場関係者)といった仕入れ環境の変化も一因となっていることも考えられる。
 こうした環境下で「需要」と「供給」のバランスがやや崩れていたことを物語る数字だ。

【AAの平均落札金額も年初から漸減傾向】
 会員制中古車データベース「データラインプロ」で蓄積している小売台数上位5車種の6月AA平均落札金額(税抜)は次の通り。

 ①トヨタ「アクア」=38万2000円
 ②トヨタ「アルファード」=327万6000円
 ③トヨタ「ルーミー」=112万円
 ④トヨタ「ヴォクシー」=162万円
 ⑤日産「セレナ」=119万3000円

 今年1月からの金額推移を見ると、②トヨタ「アルファード」と⑤日産「セレナ」の落札相場が大きく下落しているのに対し、①トヨタ「アクア」、④トヨタ「ヴォクシー」は緩やかに相場が下がっている。一方で③トヨタ「ルーミー」だけが上昇相場にあるのが面白い動きだ。②トヨタ「アルファード」の相場下落は有名な話だが、1月の385万円から57万4000円も下落している。これには中古車輸出も大きく影響しているが、各車種とも4、5月に大きく下落している状況は共通している。6月はこれに対して、やや上振れしている状況だ。こうした状況について業界関係者は「小売りと逆行し、輸出が好調なことから、相場が高止まっている」(首都圏の中古車販売店)という見方をしている。「4、5月は想定以上の出品車が集まり、高水準の推移だったが、成約率は下落傾向だった」(九州地区のAA会場関係者)、「出品台数が膨らむ一方で、落札が弱まったことで、在庫車が増大した」(中国地区の業販関係者)という声が大半で、在庫車の処分に苦戦した関係者も少なくないのではないか。

【年後半は仕入れ環境は改善、小売りには追い風か】
 年後半に向けての見通しを業界関係者に聞くと「全体の兆しとしては秋頃から年末に向け、例年通り仕入れ相場が下がると予測している」(首都圏の中古車販売店)、「昨年のような相場高騰は考えられないので、小売りダマの仕入れ環境は改善されてくるのではないか」(近畿地区の中古車販売店)といった前向きな声も大きい。「まだ明確化していないが、米国の追加関税もある程度の合意に達し、経済状況も上振れしてきている。ここからは消費動向も上向いてくることを期待している」(九州地区の中古車販売店)といった、前向きな声も多く聞かれる。

 年末に向けて、中古車小売市場が上昇傾向に転じていく見方が強いが「中古車小売りに注力していく中、在庫車の確保が重要になっている。下取り価格を買取り店と比べても遜色無い金額に引き上げている。この結果、下取り率が大きく向上している」(東海地区国産ディーラー関係者)と、ディーラー各社による中古車部門強化の流れも進んでおり、限られた市場の中、各販売店による独自の仕入れルート確保や競争力強化が急務になってくるのは間違いない。

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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること