【特集】「愛車を守る」 自動車盗難の現状とカーセキュリティー事情 - グーネット自動車流通

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【特集】「愛車を守る」 自動車盗難の現状とカーセキュリティー事情

コラム 2025年07月31日
盗難被害は「ワースト5」で全国の56.4%を占める
自動車流通新聞第810号巻頭特集

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 警察庁が発表した2024年の自動車盗難の認知件数は6080件。ピークだった03年の6万4223件に比べると、1割以下に減少しているものの、トヨタ「ランドクルーザー」など一部車種の盗難件数が増加傾向にあるほか、地域によっては依然として予断を許さない状況が続いている。また、盗難被害の実態として、犯罪組織の関与やヤードなどで不正に解体、海外へ不正輸出されるなど、犯罪の高度化は進む。こうした中で、自動車メーカーやカーセキュリティーメーカー各社などの盗難防止対策強化も進んでいる。今号では、自動車盗難の状況や傾向、「愛車を守る」最新のカーセキュリティー事情などについてレポートする。  (室田一茂)

【自動車盗難の状況】
 一部地域に集中、被害車両も高額車に集中

 24年の自動車盗難認知件数は6080件。ピーク時(03年)の10%以下とは言え、22年以降は微増傾向にある。21年は5182件まで減少したものの、22年以降は徐々に認知件数が増加している。とりわけ都道府県別の認知件数を見ると、ワースト5の愛知県と埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県で全体の56.8%を占める状況だ。6位に入る大阪府を入れても、関東・東海、関西圏に被害が集中していることが分かる。とりわけ24年はトヨタ「ランドクルーザー」の盗難件数が急増するなど、高額車の被害が顕著だ。こうした状況を踏まえると、高額車を盗難、ヤードに運び込み、車体や部品として海外に不正輸出する犯罪グループの暗躍がうかがえる状況だ。

【被害地域の集中から浮かび上がる盗難被害の状況】

 自動車盗の認知件数の大半がいわゆる東名大という関東、東海、関西に集中しているが、これらの特徴は、もともと高額車の保有台数が多いことは確かだが、大型船舶が停泊できる国際港を持つ点や外国人などが絡む車両ヤードなどが点在している点だ。警察庁によると、盗難被害の特徴は犯罪組織(窃盗団)の関与やヤードなどで不正に解体される点、海外へ不正輸出されるケースなどがあるという。また、解体した盗難車を他の車両と合体させて真正な車両として不正に登録を受け、販売・流通させるケースもあるという。盗難被害にあった車両はすぐさまヤードに運び込まれ、解体するなどして、部品としてコンテナに詰め込まれてしまうという。こうしたスピード感は年々加速しており、盗難車両が一旦ヤードで保管される時間が短く、捜査の手が届かないことも多いと見られる。

【年々高度化している自動車盗難の手口】

 自動車盗難の最新手口としては「CANインベーダー」や「リレーアタック」、「ゲームボーイ」「コードグラバー」といった機器・手法。「CANインベーダー」とは、車載システム「CAN」にケーブルでつなぎ、信号を送ることで、ドア解錠やエンジン始動を行う機器。「リレーアタック」は、スマートキーが発する微弱電波を特殊な機器でキャッチし、ドア解錠やエンジン始動を可能にする。「ゲームボーイ」は、車両と直接交信してスマートキーの情報を引き出し、コードをやり取りしてドア解錠、エンジン始動を可能にする機器。「コードグラバー」は、スマートキーが発する微弱電波を拾ってスマートキーを複製してしまう手法で、これらの前では、純正のセキュリティーではほとんど歯が立たない。

【盗難被害を防ぐため、社外品セキュリティーシステムも高度化】

 こうした犯罪手口から「愛車」を守る方法として、社外品のカーセキュリティーの施工が注目を集めている。最新の盗難手口に対応する機種が多数リリースされているほか、こうしたセキュリティー商品の組み合わせやカスタマイズによって、セキュリティー解除に時間がかかるので、窃盗団から敬遠される状況を作る。最近では、スマートフォンと車両を連携させ、そのスマートフォンを持って「愛車」から離れると、セキュリティーが作動、エンジンが始動できなくなる仕組みもある。カーセキュリティーを取り扱う販売店では、いわゆるプロショップとして、専門のインストーラーが1台1台、セキュリティーシステムもインストールしていくが、ニーズに合わせてカスタマイズするので、犯罪集団が容易に盗難できない状況を作り出す。また「愛車」へのGPS発信機の設置やそもそもの駐車場所の選定(シャッター付き車庫、防犯駐車場や立体や地下駐車場の利用)なども有効で、窃盗団の目に触れない工夫もアナログながら、とても有効だ。

【ケース①】A2M(群馬県太田市)
 19年間盗難ゼロを誇るカーセキュリティ専門店の挑戦
 自動車盗難の現状と社外セキュリティの重要性

 カーセキュリティ専門店として創業し19年を迎えるA2M(群馬県太田市)。攪上智久代表はカーセキュリティ専門店を創業した理由に「車好きなお客様に悲しい思いをして欲しくない」と話す。「盗まれないためのカーセキュリティ」を理念に掲げる同社は、19年間で約5000台のカーセキュリティを手掛け、盗難は一台も無いという実績を誇る攪上社長に自動車盗難の現状と考え方を聞いた。

■自動車盗難の現状と手口
 現在、トヨタ・レクサス車が海外での人気と高値取引を背景に、圧倒的に多く盗難被害に遭っている。主な手口は、車のコンピューターネットワーク(CAN)に外部からアクセスし、ドアロック解除やエンジン始動を行う手口。当初はヘッドライト裏から侵入していたが、メーカーが対策を講じると、今度はドアに穴を開けて内部の配線に直接アクセスするなど、手口は常に進化している。窃盗団はターゲット車種を自ら購入・分解して構造を研究しており、メーカー純正の追跡システムも、窃盗後すぐに取り外してしまうため機能しない。自動車メーカーも対策を講じているが、窃盗団はすぐに新たな弱点を見つけ出す「イタチごっこ」の状態が続いている。

■社外セキュリティの有効性とユーザー意識の重要性
 A2Ⅿでは19年間で取り付けた車が1台も盗まれていない実績がある。これは、メーカー純正とは異なるアプローチで対策を講じているため。基本的にプロの窃盗団を前提とした対策を講じている。大事なのは製品より「どこで付けるか」。同じセキュリティ製品でも、取り付ける店舗の技術やノウハウによって性能は全く異なる。
また、セキュリティは「付けたら終わり」ではなく、「毎回正しくセットすること」が大前提。セット忘れや、バッテリー上がりで盗まれるケースも多いため、定期的な点検とユーザー自身の意識が不可欠。

■情報収集とアップデート
 攪上代表は一般社団法人 日本カーセキュリティ協会を立ち上げ、自動車盗難情報の発信をはじめ、カーセキュリティインストラクターの育成など、盗難防止活動にも取り組んでいる。また、「自動車盗難情報局」を運営し、被害者から直接リアルな情報を収集。最新の手口を常に分析し、既存顧客のセキュリティシステムのアップデートも行うなど、愛車を盗難から守るためのユーザーにメッセージを発し啓蒙し続けている。

【ケース②】FEEL豊橋店(愛知県豊橋市)
 セキュリティーを通じて信頼関係を構築する
 専門知識と経験を提案に活かす

 FEEL豊橋店(愛知県豊橋市、杉浦浪男社長)は、ハイエース・キャラバンコンプリートカー専門店として、6年前にオープン。愛知県を中心に広域エリアで、新車販売・カスタムから車検に至るまでトータルでユーザーのカーライフをサポートしている。自動車盗難が多発する愛知県で、系列店のカーオーディオ&カーセキュリティーショップ「クレヴァース」で約20年培ったセキュリティーの専門知識と経験を活かし、ユーザーに安心で安全なカーライフを提供する。 

■盗難が多いエリアだからこそ防犯機器は重要
 愛知県は全国の中でも車両盗難が多いエリアで、2023年度の被害台数は、千葉県に次いで全国2番目。ランドクルーザーやアルファードなどの特定車種に被害は集中しているが、ハイエースも海外を中心に一定の市場が形成され、需要が高いことから、盗難台数は多い。そのことから、販売時には、ユーザーに注意喚起を促し、セキュリティー取り付けの提案を行っている。

■防犯性能が高い「リモコンタイプ」を推奨  
 盗難被害の増加にともない、セキュリティーの需要は近年高まっている。セキュリティーには「リモコンタイプ」と「純正連動タイプ」の2種類があり、同店では、「リモコンタイプ」を勧めている。亀田直久店長は「リモコンタイプは純正タイプと比較するとコストは高いものの、純正のキーレスを使用しないことから、防犯性能は高い。また、セキュリティー機器を常に持ち歩くことから、ユーザーの防犯意識が高まる」としている。

■長戦培った知識と経験が他店との差別化
 長年培ったセキュリティーを含む電装関係のノウハウは同店の強みである。セキュリティー機器は複数メーカーから発売されており、各メーカーによって取り付け方法が微妙に異なることから、専門知識が必要になる。同店では、強みを活かし、外注に依頼するのではなく、自社で取り付けを行うことで、無駄なコストを省き、作業時間の短縮につながっている。

■セキュリティーの提案が信頼関係につながる
 今後について亀田店長は「セキュリティーは保険と同じと考えている。安心して乗ってもらうためにも、できることなら全員に取り付けて欲しいと思う。セキュリティーの優先順位は内外装ほど高くないが、しっかりと提案することで、重要性を理解してもらい、ユーザーとの信頼関係につなげていきたい」と話す。

【ケース③】カーブティックイフ(大阪府豊中市)
 高級車販売と同時にカーセキュリティー施工
 メーカー認定プロショップとして、新規客も拡大

 カーブティックイフ(大阪府豊中市、波多信彦社長)では、国産、輸入車の高級車を中心に販売する一方で、カーセキュリティーのエキスパートとしても、約30年前の創業以来、インストーラ―として数多くの実績を持つ。カーセキュリティーのプロショップとしての顔を持ち、各メーカーの商品をユーザーニーズに合わせて、カスタマイズするという。

■車販の中心は高額車、ユーザーに安心感を訴求
 同社の販売する車両は1000万円を超えるものも多く、販売時にはカーセキュリティーの施工を提案、ユーザーに安心感を与える。同社では、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」なら約5割「ランドクルーザー」なら約9割のユーザーが車両購入時に施工依頼するという。
 波多社長は「以前は愛車をいたずらや車上荒らしから守る意味でのカーセキュリティー施工が主流だったが、コロナ後は新車の供給が大幅に長期化し、車両盗難から愛車を守るための依頼が増えている」という。「以前は車両保険を使い、新車に乗り換えるユーザーも多かったが、今は同じ車両が欲しくても納期が長期化している」と、その要因を話す。最近の犯罪グループは、盗難車を車両そのまま、または部品として海外へ密輸するケースが多く、カーセキュリティーの役割は、愛車を動かせない(エンジンがかからない)状態を作ることに主眼を置く。

■複数のカーセキュリティーを組み合わせ
 このため、同社では複数のカーセキュリティーを組み合わせるなどして、犯罪グループが車両盗難を断念するような複雑な仕組みを作る一方で、ユーザーには簡単に愛車の管理ができるよう、手元のスマートフォンなどで愛車を管理する仕組みを構築する。愛車とブルートゥース接続でペアリングしたスマートフォンが無ければ、エンジンはかからない仕組みだ。

■「プロショップ」として、持ち込む施工も増加傾向
 車両販売と同時にカーセキュリティー施工を行うケースも多いが、最近は特に、カーセキュリティーメーカー各社認定の「プロショップ」として、メーカーサイトを通じて、購入・施工の依頼を受けるケースが多いという。新車ディーラーなどで購入した車両をそのまま、同社に持ち込むケースも多い。カーセキュリティーの専門スタッフを配置、車両販売スタッフとの連携も密に行い、ユーザーに対して「安心感」を与えることで、顧客基盤を拡大している。

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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること