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普段確認している接合部分も、交換パターンによっては不適切になってしまうケースがあります。今回はフロントエリアの骨格部位「フロントクロスメンバー」の後編となります。
【溶接装着タイプからボルト装着タイプへ】
近年市販されている多くのモデルで「ボルト装着タイプ」のフロントクロスメンバーが採用されています。
これは「整備性の向上」「プラットフォームの共有化によるデザイン自由度の向上」等、様々な目的が考えられます。ボルト装着化よりフロントクロスメンバー自体が「非骨格部位」扱いとなるので、査定時に瑕疵の見落としが発生しても「修復歴評価」を免れることができます。つまり査定対象車両が「ボルト装着タイプ」のフロントクロスメンバーであることを把握していれば、エンジンルームがカバーで覆われていても、「見えづらい」というプレッシャーに悩まされることはないのです。
しかし、フロントクロスメンバーが「溶接装着タイプ」「ボルト装着タイプ」のどちらを採用しているかを見分けることは、そう簡単ではありません。一見すると溶接接合のように思えるモデルも存在しますので、その点をふまえて接合状態を確認しないと「過剰判断」につながる恐れがあります。ボルト装着タイプには大きく3パターンに分類することができるので、基礎知識として理解しておくことをおススメします。
【パターン①ラジエータコアサポートとユニット化されているケース】
トヨタのモデルに多く採用されています。交換する場合、図パターン①の青い部分が「アッセンブリーで供給&交換」されてしまう為に黄丸の溶接跡を確認しても意味がありません。基本的には赤矢印の位置でボルト装着されるので注意して判断してください。
【パターン②フロントクロスメンバーが単体でボルト装着されているケース】
日産のコンパクトカークラスに多く見られる方法です。 サイドメンバー底面から下方向へ伸びる「クロスメンバーサポート」とボルト装着されています。 エンジンルーム上側からだとボルトが確認ができない為、一見すると溶接装着と誤解してしまいます。 ボルトの確認をするには、フロントフェンダーライナーをめくる必要があります。
【パターン③クロスメンバーサポートとフロントクロスメンバーがユニット化されているケース】
ダイハツのモデルに多く見られます。クロスメンバーサポートとフロントクロスメンバーの接合部分(図パターン③黄丸)が溶接接合されていますが、交換修理は左右サイドメンバー側面の装着ボルトを外して行われます。
【接合部分の確認作業は構造理解の基本】
こうした各パターンを理解しておかないと、「装着ボルトが見えにくい」あるいは普段確認している接合部分に新車時スポット溶接跡を見つけてしまうことで『溶接装着タイプのフロントクロスメンバーである=骨格部位扱い』と間違えてしまう恐れがあります。前回も述べましたが「初めて査定するモデルの構造をその場で把握する」には、複数の接合部分を確認するよう努めてください。
(弊社のYOUTUBE公式チャンネルにおいても車種別動画内でフロントエリアの構造を紹介しております。ぜひご活用ください)
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