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2019年に1年ぶりにカンボジアの首都プノンペンを訪問した。明らかに自動車の台数が増えている。街中の道路も綺麗になり最近は新車の販売も伸びてきている。“Grab”や“Pass App Taxi”と呼ばれるカンボジア版ウーバーのような新しいライドシャアリングのアプリも導入され自動車周辺ビジネスの新しい動きも出てきた。自動車の普及台数が増加するにつれて自動車整備需要も高まっていくことは間違いない。
現在、プノンペン周辺には大小200カ所の整備工場があると言われている。新車ディーラー以外にも自動車整備のサービスを行うプレーヤーがいる。大きくは3つのプレーヤーに分類されている。(1)ディーラー、(2)モダン、(3)トラディッショナル、である。
ディーラーは新車ディーラーに併設されている一般的な整備工場だ。新車販売以降の保証期間内の顧客が対象となっている。モダンは、外資資本などが出資した設備の整った整備工場が主流。PIT&GOをはじめ、e-garage、CAR FRESH、Futaba Garage、K-Fix Automobile、GA Service Centerなどがあげられる。プノンペン周辺にはこのようなモダン整備工場が20店ほど存在する。カンボジア国内市場の約9割が中古車となっている中で、モダンは自動車社会における中間層部分をターゲットとしている。
トラディッショナルは、小規模な家族経営で地元のパパママショップ的な整備・修理場を指す。プノンペンの街中を車で走ると道の両脇に小さな修理場や道端整備を頻繁にみかける。純正部品ではないものを多く扱うため修理・点検費などは安い。まだまだ「安かろう、悪かろう」のコスト重視が多数を占め、部品交換なども中古部品を使いたがる傾向が強い。価格の安いトラディッショナルは未だ強い需要がありカンボジアにおける整備市場での重要なプレーヤーとして存在している。正確な統計はないが現地でのヒアリングによれば利用する顧客の割合はディーラー(10%)、モダン(10%)、トラディッショナル(80%)程だ。
車は走れば良く、そのあとの整備・メンテナンスなどは考えていない。これからの整備ビジネスは、コストと質ではコストに傾いているカンボジア人の「安かろう、悪かろう」の意識をどのように変えていくかが重要なポイントになりそうだ。
<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。
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