【特集】多様化する車の購入方法 - グーネット自動車流通

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【特集】多様化する車の購入方法

コラム 2024年12月19日
「残価設定型ローン」 と「オートリース」 が増加

 新車購入時の支払方法に多様性が表れ、大きな変化をみせている。一般的に自動車購入時の支払方法は、「現金一括」「オートローン」「残価設定型ローン」「オートリース」の4種類の選択肢の中から選ぶことができるが、ここ数年「残価設定型ローン」「オートリース」の利用率が増加している。日本自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会発表の2024年1月から6月の新車販売台数(登録車+軽自動車)は国内新車販売における 出荷停止が響き212万7000台と前年を大きく下回った。新車購入時の支払方法の多様性は、08年に起きたリーマンショックを起因とした不安定な経済情勢が続く中で、カーライフに安心感を求めるユーザーと顧客基盤を確保しながら、代替サイクル短縮を目指す販売店の思惑が一致した結果ではないのか。 (福井 伸幸)

■購入方法は大きく変化している 
 日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」によると、車をローンで買う人の割合は全体の3割から4割程度となっているが、最新の23年度のデータでも、「現金一括」が58%、「オートローン」が17%、「残価設定型ローン」が18%、「オートリース」が6%となり、4割を超えている。10・11年と比較すると、「現金一括」▲14㌽、「オートローン」▲8㌽、「残価設定型ローン」+15㌽、「オートリース」+5㌽と、「残価設定型ローン」と「オートリース」の割合が大きく増加した。購入方法の変化は、現金からオートローンとの併用になり、残価設定型ローンやオートリースなど選択肢が増えたことで多様性を見せている。
エリアや年齢層では、「現金一括」は、首都圏周辺、高齢期で7割前後と高い数値を出している。また、トヨタファイナンスが公開しているデータでは、20代から40代では自動車ローンの契約のうち、75%以上のユーザーが「残価設定型ローン」を選択して契約している。

■毎月の支払いを抑えたい「残価設定型ローン」
「残価設定型ローン」は、新しい車の購入方法として、新車メーカーを中心に注力されており、各社「残価設定型プラン」「残価設定型クレジット」「残クレ」などの名称で展開されている。あらかじめ将来の下取り価格を設定して、車両価格から下取り価格(残価)を差し引いた金額に対してローンを組む方法で、「月々の支払額が抑えられる」や「乗り換えやすい」などのメリットがある。デメリットも存在しており、一番は、据え置いた残価に対しても金利がかかってくるので、総支払額は高くなることがある。「残価設定型ローン」は毎月の支出を抑えることを重視したい人に向いていると言われている。

■毎月一定料金で利用「オートリース」
 「オートリース」は「残価設定型ローン」と比較すると利用率は低いものの、ここ数年で大きく増加した購入方法になる。14年・15年までは全体の利用率が1%未満であったが、16年から徐々の増え、23年には全体の6%まで占めるようになった。「オートリース」は希望する車両を毎月一定料金で利用できるサービスで、税金や車検代といった維持費も月額料金に含められているため、車の管理コストを下げられることができる。一方、デメリットもあり、期間中に解約をする場合の違約金発生や、走行距離やカスタマイズなどの制約がある。

■価値観の変化によって購入方法も変わる
 多様な考えや価値観が認められる現代において、自動車に対する価値観も一世代前とは大きく変化した結果、新しい購入方法が生まれ、浸透しつつある。次ページからは、新しい購入方法を使用して、ユーザーに対して、効果的に提案している販売店を紹介する。


●スマイルランド (埼玉県上尾市)
中古高級輸入車・高額車両を残価設定ローンで効率販売

 スマイルランド(埼玉県上尾市、渡邉一矢社長)は、自動車販売において多様なアプローチを提供している企業だ。特に中古車の販売やリースの分野で強みを持ち、地域に根差した事業展開を行っている。現在、同社は関東圏を中心に4つの店舗(カーミニーク)を運営しており、それぞれが異なる特徴を持っているが、全店舗が連携し、効率的な在庫管理やサービス提供を行っている。同社のビジネスモデルには、車両の買取や車検、整備、さらには自動車保険の代理業務などが含まれており、これらを総合的に提供することで顧客のニーズに幅広く対応している。また、認証工場を完備しており、車両整備においても信頼性が高い。

 高級車市場における残価設定ローンとリース契約の強み
同社の最大の特徴は、フランチャイズの一環として運営されていることだ。フランチャイズ本部は直営の本部を持ち、各店舗はその下で運営されている。これにより、事業のスケールメリットを活かしつつも、個々の店舗が地域に密着した運営を行うことができている。

 販売の方法としては、現金での購入やローン、リース、残価設定ローン(バランスローン)などがあり、特に高級車の販売においては法人契約が多くを占める。同社では、リース契約や残価設定ローンを好む顧客層が多い傾向にあり、これが主流となっている。特に高級車に関しては、残価設定ローンが人気で、月々の支払いが比較的低額で抑えられるため、購入しやすいといった利点がある。

 残価設定ローンは、車両を購入した後にその車両を一定期間後に返却することを前提に支払いを行う方式である。この方式は月々の支払いを軽減できるため、特に高級車や新車を購入する際に魅力的だ。同社では、ポルシェなどの高級輸入車もこの形式で販売しており、月々の支払いを15万~20万円程度で設定することも可能だ。頭金なしで購入することができるため、経済的な負担が少なく、多くの顧客に支持されている。

 このような柔軟な支払い方法を提供することにより、顧客が自身の予算に合わせて車両を選ぶことができる。その結果、顧客は新車や高級車を手に入れやすくなり、購入後は定期的に車を乗り換えるサイクルが生まれている。特に、車に対する熱心な愛着を持つ層には、残価設定ローンが非常に好まれている。


●オニキス市原 (千葉県市原市)
商品軸ではなく顧客軸の提案で商品を活かす

 オニキスは地域密着型の営業スタイルを心がけ、地元に根差した営業活動を展開している。その数は直営店・加盟店を合わせ全国724店に及ぶ。 オニキスを運営するオートコミュニケーションズは残価設定ローンやリースなど、ユーザーの支払い方法を柔軟に提案できる商品で、新車の購入を促進してきた。中でも残価設定ローンの「ワンナップシステム」は業界のパイオニアとして、登場から30年以上にわたりユーザーに利用されている。そのワンナップシステムやオニキスの営業スタイルについて直営店販売責任者の須田毅取締役に話を聞いた。

■残価設定ローン「ワンナップシステム」の特長は
 須田取締役は「ワンナップシステムは残価に掛かる金利をオニキスが負担します。ユーザーは本来払う必要の無い金利負担を避けられるのが特長。また、リースでも同様だが、残価設定型ローンは満期設定があることで、販売店はワンオーナー車を下取車として扱える。ユーザーも買取やローンの延長、乗り換えと選択肢が広がる点も特長。オニキスが日本で最初に残価設定ローンを導入し、30年以上経つが“新車に半額で乗れる‼”のインパクトだけではここまで続かない」と話す。

■オニキスの強みは
「残価設定ローンの販売台数は直営店全体で約10%。全体で見ればその数は少ないが、残価設定ローンで長年取引が続いているユーザーもいる。ユーザーに予算や用途、ライフスタイルまで聞いた上で選択肢を提案している。オニキスは元々、中古車販売メインのお店が新車を取り扱うために始めており、真の目的はユーザーの選択肢の幅を広げ最適な提案をすることにある。ユーザーが選ぶ車によっては中古車と変わらない値段で新車に乗れるという提案もその一つ。オニキスは商品ありきの提案をしない。ユーザーニーズに合わせた提案が我々の営業スタイル。これがオニキスの強みであり、提供する商品やサービスが活きる取り組み」(須田取締役)。
 オニキスは商品開発にもユーザーの声を活かし、新たな選択肢を提供している。それが「オールインワン」だ。オールインワンは残価設定ローンにメンテナンスや保険を組み込んで支払いができる商品。オールインワンもだが、顧客のニーズに応じた提案を重視し、オニキスや新車リースのフラット7などの商品を車選びの選択肢として提案することでユーザーに選ばれ続けている。


●髙木自動車(静岡県三島市)
カーリースはユーザーを囲い込む有効な手段

 髙木自動車(静岡県三島市、髙木正治社長)は、新車販売において特にカーリースに注力している。1963年の創業以来、販売と並行して整備事業に力を入れており、現在では、指定工場と鈑金塗装工場を併設する本社のほか、鈑金塗装を行う2つの工場を所有する。00年には、整備事業の拡大を模索する中、カーコンビニ俱楽部のFCに加盟、それを契機に、7年前から始めたカーリースでは、「カーコンカーリース」を含めた自社メンテナンス付きリース契約台数が現在では、約200台となっている。 

■カーリースのメリットは多い
 カーリースのメリットについて「ユーザーの囲い込み」と「任意保険のスムーズな案内」と髙木社長は話す。また、ユーザーは、毎月のリース料に「車検基本料金」「自動車税」「登録時・継続時諸費用」が含まれており、頭金0円で契約できるので、購入時・車検時に、まとまった費用が不要となる。カーコンカーリースの契約期間は、基本9年で7年目に返却が可能、残り2年乗り続けると、車両はユーザーの所有となる。最低7年間はユーザーを囲い込むことができ、期間中のメンテナンスも自社で受け持つことができる。7年間の期間を活かし、ユーザーとの信頼関係を築くことで、契約期間切り替え時の代替えにつながる。また、任意保険は、リースを取り扱わない一般店の場合、リース特約の説明が適切にできないケースがあるが、同社であれば、リースでの契約に長けているため、内容を明確に説明することができ、保険案内がスムーズになる。

■カーリースは販売の柱になりつつある
 販売台数の半数以上がリースでの契約の同社では、営業手法もリースに特化している。提案はリースから始め、メンテナンスパックを付帯したオートローン、最後にオートローンのみとなる。月々の支払いを高くから低い順番にして、ユーザーの支払い能力にあわせることで、選択の幅を広げている。また、7年目の返却時に囲い込みで得た信頼関係を生かし、代替えを提案、代替えにならなかった場合でも、9年目以降のメンテナンスパックの付帯を提案することで、囲い込みを継続する狙いだ。
 髙木社長は「年々車両価格が上がっており、現金での購入に負担を感じるユーザーも増えている。カーリースは、毎月のリース料に、主なメンテナンス費用も含まれて利便性と経済的であることから、ユーザーのニーズにもあっているので、同社としても引き続き注力していきたい」としている。 


●マンデー(大阪府泉佐野市)
リースアップの「ワンオーナー車」は中古車リースに最適

オートリース販売に注力し、新車販売を大きく伸ばしているマンデー(大阪府泉佐野市、稗田勇社長)では近年、リースアップ車の活用手段として「中古車リース」の需要も増大しているという。同社はリース販売を手がけて、12~13年が経過、この7、8年は特にリース販売が好調に推移している。月間の新車リース販売台数は10台前後で安定推移、3年や5年、7年単位でリースアップ車がコンスタントに発生することから、これを活用した中古車リースの販売にも注力している。

■5、7年落ちのリースアップ車を「中古車リース」
 大半のリースアップ車は5、7年落ちのワンオーナー車ばかり。同社では「ワンオーナー車」をセールスポイントに中古車販売に注力しているが、商談の中で「中古車リース」の提案なども行う。
 中古車リースを扱う上でのポイントについて稗田社長は「契約期間3年が一番提案しやすい。残価率を高めに設定できるので、月々の支払額を抑えることができる。契約期間が延びると、中古車リースの優位性が無くなるので、新車リースに流れるケースが多い」という。自社で定期的かつ大切にメンテナンスしてきたリース車は、車両状態も良く、中古車リースをする上での商品への不安感も少ないという。最近では「新車リース5年+中古車リース3年」などで、ユーザーに販売した「ツーオーナー車」が多く入庫するようになった。車齢8年や10年の中古車であっても、自社サービス工場で万全のメンテナンスを行ったリースアップ車は、中古車小売りでも大きな武器になっている。こうして「ツーオーナー車」として店頭に並ぶ中古車は10年落ちながら、走行10万㌔㍍以内の良質小売りダマばかり。最終的にはこうした中古車を総額40~50万円程度で販売、3人目のオーナーの手に渡ることになる。

■「新車+中古車の両輪」で経営安定化
 一方で稗田社長は「中古車リースはビジネスモデルとして、とても難しい。中古車をAAなどで仕入れていては、中古車リースの優位性が保てない。新車リースを手がけているからこそ、良質車が定期的に入庫するので、これを活用したビジネスモデルには最適だと思う。本当の意味で『新車+中古車の両輪』で、経営が安定してきた」と、大きな手応えをつかむ。
 新車リースを長く手掛けているからこその「中古車リース」という販売手法。同社では、店頭で販売する中古車の外部仕入れ(AA、業販など)はほとんどなく、まさに「新車と中古車の両輪」が健全経営を後押しする。





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【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること