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グーネット自動車流通では「成長するオートアフターマーケットの現状と未来」をテーマに、前回から引き続き、自動車アフターマーケット業界の動向を特集にまとめた。前回は、主に「商品」をクローズアップし、車販時などに付帯する部品・用品販売などをクローズアップした。今号では「商品」ではなく「付帯サービス」に視点を移して、実例などを踏まえて紹介していきたい。昨今の新車供給遅れや中古車輸出の拡大による中古車市場の相場高騰などを背景に、一般の中古車小売り店では、車販による収益確保が年々厳しくなる一方だ。こうした状況を踏まえ、本特集では、自動車販売店、自動車整備工場などが注力すべき付帯サービスの展開や顧客向けサービス強化による顧客との接点強化などについて紹介したい。
(室田一茂)
【自動車アフターマーケット市場動向は年々変化】
近年の自動車アフターマーケット市場は、新車装着の普及拡大によるカーナビゲーション(カーナビ)やETC車載器などのカーエレクトロニクス系商品やアルミホイールの標準化拡大によるドレスアップ需要の縮小などを背景に、物販での収益確保が難しい実情がある。一方で、故障診断機や四輪トータルアライメントテスターなどの検査機器を活用した点検入庫や車検・整備などを重点に置く大手カー用品店の姿が当たり前になってきた。ボディコーティングなどもその大きな象徴で「工賃」で稼ぐビジネスモデルが基盤収益確保において、年々重要度を増している。
中古車販売店においては、現在のオートオークション(AA)相場の高騰によって、在庫車の充足も難しいという声を多方面で聞くようになった。何とかAAで競り落とした中古車も、想定していた原価をはるかに超える金額で、これまでの小売り価格に匹敵するケースも珍しくない。
【付帯収益を確保する各種サービスの展開が不可欠】
こうした中で、中古車販売店や自動車整備工場が生き残りを図る上で重要なのは「付帯サービス」でいかに収益を拡大できるか、またこうしたサービスを通じて「顧客固定化」を図っていくかだ。
【付帯収益を生み出すサービスはまだまだ手付かず】
プロトコーポレーション調べによる「カーユーザーレポート2023」の集計結果によると「中古車購入時に実施・依頼したサービス」で最も多かったのは「保証」(15.3%)、「メンテナンスパック」(14.5%)の順。「ボディコーティング」はたったの11.5%だった。その他、「タイヤ交換」や「バッテリー交換」「ルームクリーニング」「ウィンドウコーティング」などが続くが、ほとんどが10%以下という状況だ。これを逆に見ると、まだまだ収益確保に残された「付帯サービス」はたくさん存在しているということだ。
以下では、こうした付帯サービス提供にぴったりの「商品・サービス」や顧客固定化につながる「関連サービス」などを紹介したい。
【安部商会】(東京都千代田区)
ユーザー接点増やしサポート、商品開発に繋げる
ユーザーのカーライフを豊かにすることが使命
1948年に来るべきクルマ社会を見据えて第一歩を踏み出した阿部商会(東京都千代田区、阿部文保社長)。阿部商会は、自動車に関わるあらゆる商材を扱う商社として、ユーザーのカーライフを豊かにすることを使命としている。商材は各カテゴリーの海外トップブランドを中心に、輸入車・国産車用パーツ&アクセサリーと多種多様な商品ラインナップを揃えユーザーに提供している。今回は足回りのカスタムパーツとしてトップブランドの「BILSTEIN(ビルシュタイン)」について販売促進部商品課の岩田純一氏に話を聞いた。
■ユーザーニーズを満たすBILSTEIN
「“若者の車離れ”や“所有から利用”といった話があるが、そうは言っても車好きの人や車にこだわりを持っている人は一定数居続けているのも事実。阿部商会が提供する商材はタイヤやショック、ルーフレールやオイルなど多岐にわたる。中でもBILSTEINはユーザーの憧れとして、また性能を評価いただき、ショックのトップブランドとして長年絶大な支持をいただいている」。
■ユーザーの声を活かしサポート体制の充実化を図る
国内初となるBILSTEINの「サービスバス」を導入した。サービスバスは、ダンパーの分解、計測、組み立て、セッティング変更が可能な設備を備えた移動式トラックとなっている。「自動車メーカーの開発テストや耐久レースの現場において即時のセッティング変更を可能にした。将来的には販売店さんには赴いて店頭でのセッティング変更もできることを実現していきたい」。
阿部商会はユーザーの生の声を聞ける良い機会としてオートサロンへの出展や試乗会を行っている。「ユーザーの声を活かし、ユーザーのカーライフを豊かにするためにテクニカルセンターも設け、メーカーとしての立ち位置を備えているのは阿部商会の特徴。今後はユーザーサポートに力を入れていく」。
■メーカーとしてもユーザーのカーライフを支援
阿部商会は、MINI専用のAMSECHS(アムゼックス)ブランドを立ち上げ、MINIユーザーにオリジナル商品を提供している。「AMSECHSは阿部商会の輸入車ディーラー“MINI大田”と共同開発し、販売現場がユーザーの声を汲み上げ、MINIファンにMINIライフを楽しんでもらうことが狙い。ただ売るだけではなく開発・サポートを含め、自分達が良いと思う商材をユーザーに提供している」。
【カーボイス】(岐阜県郡上市)
パークの運営を通じて新たな顧客を獲得
「モノ売り」から「コト売り」へ転換
RVパーク・セルフ洗車、レンタカーを備えた複合施設「のんびりパーク」を運営するカーボイス(岐阜県郡上市、伊藤里司社長)。「気軽にのんびり楽しめる」をコンセプトに、こだわりの純水を惜しみなく使用したコイン洗車場や、車中泊はもちろん時間単位でレンタルスペースとして利用可能なRVパーク、レンタカーは軽自動車からキャンピングカーまで幅広くラインナップするなど、他社との差別化を図ることで、多くのユーザーをひき付けている。自動車販売の転換期を迎えようとする今、同社は「のんびりパーク」の運営を通じて、「モノ売り」から「コト売り」に大きく舵を切っている。
■充実した設備で全国から利用者が訪れる
「のんびりパーク」の敷地は2100㎡と広々としている。「RVパーク」は日本RVパーク協会認定施設で全国364番目。サイトは設備内容と広さが異なる全5サイト、設備は全てのサイトに電源、シンク、天然芝を設置、また、ソロキャンプやコスト重視のユーザー向けのサイトを除く4サイトにシャワー室が用意されているなど充実している。東海北陸自動車道郡上ICから約15分の好アクセスと1泊3500円から5500円の低価格もあり、岐阜県をもちろんのこと、中部、関西を中心に全国からユーザーが日々訪れている。
■「純水100%」で洗車の手間を減らす
「純水100%」にこだわった洗車場は、最新の洗車機の他、日差しの強い日や雨天でも使用できる3.1mの屋根付き拭き上げスペースや大型キャンピングカーにも対応できる高圧ジェットを備えている。また、洗車場敷地内のほぼすべての水は純水が使用されている。純水とは、洗車に特化した限りなく不純物を取り除いた水で、不純物が含まれないため、シミになりにくく、拭き上げ作業の軽減につながるなどのメリットがある。
■パークの運営は新たな集客モデルの構築
伊藤社長はパーク運営について「インターネットの普及で販売エリアは広がり、顧客との関係性は希薄になっている。そのような中、RVパークや洗車場を通じて利用者とコミュニケーションを図ることで、メンテナンスや整備につながっている。パークは集客に特化した場所であり、集客の新たなビジネスモデルである。ただし、このビジネスモデルも永遠に続くものではない。順調に進んでいる今が次の一手を打つチャンスだと思っている」と話す。
【ACOATジャパン】(大阪府池田市)
業者向け親水ガラスコーティング「ACOAT PRO」
施工の手間も少なく、付帯収益確保に最適な商品
イフ(大阪府池田市、波多信彦社長)が「ACOATジャパン」ブランドで展開する「ACOAT(Aコート)」シリーズがオートアフターマーケット業界で注目を集めている。4月1日にリリースされ、最近では大手カー用品店の店頭にも並ぶようになった。同シリーズは日本製にこだわり、自社で特許を取得するなど、商品企画から開発までを一貫して行うことで、唯一無二のブランド価値を構築する。
■特許取得の「国産」オリジナル商品として展開
こうした中、一般ユーザー向けとは一線を画した業者向け商品もラインアップし、自動車販売店や整備工場などのサービス収益拡大に期待がかかる。業者向けの親水ガラスコーティング「ACOAT PRO」はガラス成分の含有量がほぼ100%で、施工時は炭酸水との組み合わせにより「空気でボディに吸着する」ことが大きな特徴。バインダー(接着剤)を使用しない独自技術で、フライパンなどに使われる「テフロン加工」のような仕上がりが魅力だ。耐熱温度も摂氏800度と、高熱にも強いのが特徴だ。一般的なボディコーティングと比べ、同製品は施工時間1時間(下地処理除く)、乾燥時間30分という施工しやすさ。一液タイプなので、溶剤の調合などの手間もかからない。日々業務に追われる中古車販売店などでも、業務の合間を見ながら、手軽に作業できるので、新たな収益確保のためのサービス商品として導入しやすいのも大きな魅力。これまで外注していたボディコーティングを自社で内製化するにはちょうど良い商品。
■酷暑にも対応した「親水」ガラスコーティング
「親水」の特徴としてウォータースポットとは無縁なことも大きなメリットだ。もちろん、ボディ表面にガラス面が形成され、撥水シャンプーなどを組み合わせることで「撥水」を好むユーザーにも対応することができる。日本国内は年々暑さが増すばかり。耐熱性があり、ウォータースポットの付きにくい「親水」がボディコーティングの主流となることは容易に想像できる。
■メンテナンス用品も充実し販売店の収益を拡大
ACOATジャパンでは、幅広いコーティング剤、洗車用品ラインアップでユーザーニーズに対応するとともに、自動車販売店や自動車整備工場などの付帯収益確保の手段として「ACOAT PRO」の拡販に本格的に乗り出す。「ACOAT」シリーズには、カーシャンプーや吸水タオルなども多数ラインアップ、販売時の「ACOAT PRO」施工と合わせて、メンテナンス用品を販売することでさらに収益が拡大する。
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