【特集】コロナ禍でますます存在感示す「共有在庫」 - グーネット自動車流通

2024年4月25日 [木曜日] 先勝 |  西暦元号早見表 西暦元号早見表  |  サイトマップ サイトマップ

【特集】コロナ禍でますます存在感示す「共有在庫」

コラム 2022年02月26日
中古車の仕入れ手段として共有在庫が定着

 新型コロナウイルス出現から2年超が経過、自動車販売店にとっては、新車の納期遅れが続き、これに伴う中古車の慢性的なタマ不足が経営を圧迫している状況だ。オートオークション(AA)市場においては、タマ不足の長期化を背景に相場高騰が続き「小売りダマの仕入れに苦労している。在庫車が売れても補充できないため、展示場の充足率は低下する一方」(関西エリアの中古車専業店)と悩ましい声が上がる。こうした中で、いわゆる「共有在庫」の存在価値が高まっている。顧客からの注文車をピンポイントで仕入れられる便利なツールだが、年々増加傾向にあったものの、このコロナ禍において成約台数は増加の一途を辿っている。今回の特集では、共有在庫サービスを提供し、グーネット(モーターゲート)と車両データ連携する大手6事業者への取材などを交えて「共有在庫」市場の現状や今後の展望などについて、レポートしていきたい。 (室田一茂)

■大手6社の延べ掲載台数は常時45万台超に

 自動車流通新聞調べによる共有在庫サービス6社(荒井商事、エル・エー・ピー、オートサーバー、クイック・ネットワーク、JUコーポレーション、シグマネットワークス、50音順)の延べ掲載台数は45万台超に上る。もちろん、各社の在庫連携なども活発に行われている共有在庫市場なので、重複する掲載車両も多く存在するが、各社の共有在庫市場の掲載台数を単純に合算すると、こうした規模感が見えてくる。

 各社へのヒアリングでは総じて、サービス開始からこれまで掲載台数は年々増加傾向を持続してきたという。業界最大手のオートサーバー(東京都中央区、髙田典明社長、AS)では「漸増傾向にあり、概ね年1万台程度のペースで出品台数が増えている」と振り返るが、直近の数値では「昨年同時期との比較ではほぼ同水準」(AS)と、コロナ禍によるタマ不足の影響などから、市場規模拡大は若干の足踏み状態にある。一部で掲載台数を大きく伸ばした共有在庫サービスもあったが、各社とも微増または前年同等の実績キープといった状況が窺える。コロナ禍による影響は共有在庫市場にも影響を与えている。

■コロナ禍で販売店の仕入れスタイルも大きく変化

 共有在庫という取引スタイルはここ数年で一般的にはなってきたが、サービス開始から各社が徐々に認知を拡大、AA評価点の引用や自社査定の精度向上、第三者機関による評価書の添付などで、共有在庫で「仕入れる」スタイルも抵抗感が無くなってきた。クレーム案件も年々減少傾向にあり、AAと同様の第三者を通じた業者間取引の仕組みとして、自動車販売店の仕入れツールとしての存在価値は高まる。 

 こうした状況の中、コロナ禍がこうした商取引の促進に影響を与えている。TAA/CAAグループのインターネットサービス「TC‐webΣ」内で共有在庫「ストックワンプライス」を展開するシグマネットワークス(東京都中央区、永谷敏行社長、シグマ)では「今年度はタマ不足によるAA市場の高成約率基調が影響し、AAで仕入れられない分を共有在庫で仕入れる形が見られた。注文車だけでなく、展示車仕入れにも活用する販売店も多い」とする。

 共有在庫「JUテントリ」を提供するJUコーポレーション(東京都新宿区、松本富男社長、JUC)でも「AAでの相場高騰を受け、仕入れが難しくなっていることもあり、特に小売りダマを求めるJU会員の共有在庫としての活用が増加している」という。

 「クイック×クイック」で共有在庫サービスを提供するクイック・ネットワーク(神戸市中央区、田畑翔利社長、クイック)はコロナ禍の副産物として「共有在庫への需要が増え、大幅な成約増となった。販売店でもネット通販型の販売手法が確立され、価格が見えてすぐ買える共有在庫への需要は今後も更に高まると思われる」とする。

 各社からのヒアリングによると、成約台数はコロナ禍で大きく上昇、AA相場高騰による仕入れ難とコロナ禍で店頭に居ながら売買できる共有在庫市場の有益性が認知されたことで、大きな成果につながっている。

 共有在庫「LAP」を展開するエル・エー・ピー(岡山市南区、丸山明社長)では「21年の成約実績を前年対比で見ると、50%増の高水準。一昨年に「新LAPネットワーク」を刷新した効果も大きいが、コロナ禍で共有在庫の利用が促進、小売り向けの仕入れを行う販売店が多い」という。

■コロナ以降、落札店の形態も大きく変化、AA市場と密接な関係性

 ここ数年の成約状況を見ると、中古専業店の増加が顕著だが、これと同様に輸出事業者による落札も目立つという。ひと昔前の共有在庫の落札店のイメージは、自動車整備事業者やガソリンスタンド(SS)といったエンドユーザーからの注文車を扱う会員だったが、コロナ禍による中古車市場の仕入れ難が小売店の在庫車や輸出向け車両などにも拡大している。とりわけ輸出事業者の落札が大幅に伸長していると分析するのは、共有在庫「AI-NET」を提供する荒井商事(神奈川県平塚市、荒井亮三社長)。同社によると「輸出業態会員の落札台数は前年比で50%近い増加。当社会員は輸出業態が多いこともあり、共有在庫への落札参加が増えている」という。

こうした落札店の動きと並行して、AAとの密接な関係性が共有在庫市場を大きく成長させている。荒井商事は「販売店が小売りダマを共有在庫で併売するという従来のスタイルに加え、当社AA会場との連携により、AA出品車を出品までの間に共有在庫に掲載するスタイルが始まった」と、会員の中ではAA出品までの数日間であっても販売チャンスを拡大する手段として共有在庫を大いに活用する動きが見られるという。

 LAPにおいても「LAPネットワークとLAAネットワークの連携強化が共有在庫取引の活性化に大きく寄与している。コロナ禍で中古車への需要が大きく増大している中、LAA会場での落札車をLAPへ登録、共有在庫で遠方に売れるケースも多い」という。

 シグマにおいても「TAA/CAAグループの強みを生かした告知活動を展開する」と、共有在庫とAAの表裏一体での活用の促進を促す。


■将来的にも拡大基調が続く共有在庫市場、掲載情報や取り扱い車種拡大へ

 共有在庫サービスを展開する各社では、その成長性の持続を確実視する一方で、更なるサービス強化などを打ち出す。最大手のASでは「引き続き、売り手と買い手の参集を図り、マーケット拡大を図っていく。また、規模拡大と並行し、掲載情報の拡充やこれまで掲載の少なかった分野の中古車(商用車)への拡大策も検討するほか、引き続き、取引車両の品質確保と向上のための施策を講じる」とする。

 クイックでも「大型トラックなど商用車需要増により、更なる検索方法の向上と掲載台数増加を目指す。海外需要増による流通量増に対応できるサイト構築を目指す」という。

 全国組織であるJUの立場で共有在庫を推進するJUCでは「品揃えを充実させ、小売りに直結する頼れる市場にしていきたい。昨年より『高成約率』『クレーム少』の出品店の目安として、該当会員の出品車に『テントリスター』マークを表示している。同制度を一層周知し優良な取引を推進していく」と、JUナビ会員が買いやすい共有在庫を目指す一方で「昨年よりJUテントリ掲載車両を輸出向けサイトに情報連携しており、更なる販売チャネル拡大に努める」という。

 各社とも掲載車両のボリュームアップや掲載ジャンルの拡大を図り、会員の売買を活性化する方向性だが、一方のアウトプットにおいては、国内の中古車小売り店だけに止まらず、海外への輸出向けなどを念頭においた外部連携などを促進することで、出品店の満足度を高める。

■これからの中古車取引はAAと共有在庫が共存する形で成長局面へ

 今回の特集取材で特に感じたのは「AA」と「共有在庫」が互いに食い合う構図はすでに存在しないという点だ。共有在庫への需要が高まり始めた当初は、AA需要を奪う勢力として共有在庫を敵対視する声もあったが、現在の市場環境では、各販売店のニーズにうまく合致しながら「AA」と「共有在庫」の共存が見事に成り立っている。 

「AA」から「共有在庫」、「共有在庫」から「AA」、「小売り」から「共有在庫」、「共有在庫」から「小売り」、「小売り」から「AA」、「AA」から「小売り」と、あらゆる流通形態がシームレスに繋がる方向性が見えてくる。

【インタビュー】JUコーポレーション 松本富男社長
 中古車流通が不安定な今、「共有在庫」は必要不可欠な存在
 引き続き、安心して取引を行える環境づくりを推進

 JUコーポレーションが展開する共有在庫「JUテントリ」は、全国JU会員にとって、良質な中古車を安定して調達することができるほか、販売チャンスを増大させることができる重要な存在だ。現在、新型コロナウイルス感染拡大による新車供給の停滞などで良質な中古車が不足しているほか流通価格も高騰している。また新車ディーラーによる顧客囲い込みや大型資本販売店の進出で販売環境が厳しくなる中、JU販売店が生き残りを図るにあたり、新たな販売ルート、また良質中古車の仕入れの場として「JUテントリ」は必要不可欠である。

 全国では、オートオークション(AA)を実施していないJU商組も存在している中、「JUテントリ」は商組の新たな収入源としての役割も持っている。「JUテントリ」で成約すると、出品店が所属する商組に按分が入る仕組みで、商組として新たな収入源を確保することが可能だ。また、AAを実施していない商組にとっては、全国のAA会場で仕入れができる「JUナビ」に加え、共有在庫「JUテントリ」のメリットを訴求することで商組入会へのきっかけにつながっている。

 一方で、新型コロナ感染拡大対策として人流の抑制を行う中で、「JUナビリアル」の落札料を場内落札料に合わせるなどの施策を実施した経緯がある。感染対策をきっかけに「JUテントリ」など、インターネットを活用した仕入れの重要性は高まってきている。
全国JU会員の在庫を集結した共有在庫である「JUテントリ」の必要性はより高まると同時に、掲載情報の正確性を担保することも重要となる。JUコーポレーションでは、今後も引き続き、会員間で安心して取引を行える環境を整備していきたい。

[PR]トレンドウォッチ

オークション一覧へ


企業・団体一覧へ


整備一覧へ


板金一覧へ


店舗情報一覧へ


ひと一覧へ


相場統計一覧へ


新製品一覧へ


新車ランキング一覧へ


中古車ランキング一覧へ


FC加盟募集 アップル

荒井商事

ASNET

QuickXQuick

週間オークション情報

オークション会場情報へ

成功事例集

バナー広告募集中

グーネット自動車流通へのご意見・ご要望

コラム関連の過去記事を検索する

日  ~  

【対象評価点】

4、4.5点

【抽出価格条件】

直近価格が500千円以上

【抽出台数条件】

毎月50台以上の流通が過去6ヶ月連続していること