【連載企画】File48中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント? - グーネット自動車流通

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【連載企画】File48中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?

コラム 2022年02月25日
利益が出てきたら別会社を設立すると節税になるってウソ?ホント?
会社名:自動車業界特化型税理士 酒井将人

 自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説します。

【分社化による節税】
節税とは法律の範囲内で税負担を軽減することをいいますが、その方法には、数多くの種類があります。そして、その殆どは「所得分散(税率差の活用)」と「課税の繰り延べ(先送り)」に大別され、今回ご紹介する別会社の設立(=分社化)による節税は、前者に該当します。我が国の法人税率は、資本金が1憶円以下の法人の場合、課税所得800万円までは軽減されているため、800万円を境として適用される税率が異なります。そのため、課税所得を一つの会社に集中させず、別会社に分散させることで、800万円以下の軽減税率部分を有効に活用できるという訳です。

【具体的にいくら違う】
それでは、1つの会社で法人税等を納めるのと、別会社を設立して2つの会社で法人税等を納めるとのでは、具体的にいくらの節税になるのか計算してみたいと思います。まず前提として、資本金が1憶円以下、従業員数が50人以下の中古車販売会社で課税所得が1,600万円発生していたとします。この場合の法人税等の税負担は簡便計算で約490万円となります。もしこの会社が別会社を設立し、1,600万円の課税所得を800万円ずつ2社に分散した場合、1社あたりの法人税等の税負担約196万円(2社合計で392万円)となるので、100万円近い節税効果があるといえます。

【消費税の優遇も享受】
皆様ご存じのとおり、資本金1,000万円未満の会社を設立した場合、最大2年間、消費税の納税義務が免除される特例があり、別会社を設立した場合にも、この特例は適用されます。ここでは細かい適用要件の解説は割愛させて頂きますが、別会社の設立を検討される際には、令和5年10月から導入予定の「インボイス制度」との兼ね合いも含めて、顧問税理士などに相談されると良いでしょう。

【資産の共同購入と少額特例】
青色申告を行っている一定の中小企業は、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その取得価額に相当する金額を取得時に全額損金処理できる特例(以下「少額資産特例」という。)があります。この少額資産特例における取得価額が30万円未満か否かの判定は、例えば資産を2社で共同購入したような場合には、その資産の持分比率に合わせて購入費用を按分した後の金額で行うこととなります。つまり、その金額が1社あたり30万円未満であれば、その購入にかかった費用は2社とも全額損金処理ができるという訳です。なお、この少額資産特例には事業年度あたり300万円までという上限があるなど、一定の制限がありますので、注意が必要です。

【分社化のデメリット】
良い部分(メリット)の裏には必ず悪い部分(デメリット)があり、いわゆる経営判断とは、常にこのメリットとデメリットを比較して最適な道を選ぶことだと私は考えています。今回の分社化を検討する際に、押さえておくべき主なデメリットは次の3つです。
①経理処理が2倍日々の帳簿管理や経理処理、決算業務を2社分行う必要があるため、経理担当者の負担が増加します。
②専門家報酬が増加私たち税理士や社労士といった専門家と顧問契約を締結している場合には、分社化に伴い専門家報酬の負担が増加します。
③節税効果減少の可能性
分社化による節税効果は、安定的に利益が出ている状況で本領を発揮します。不動産賃貸業のように将来利益が安定的に見込める業種の場合には心配は無いかもしれませんが、市場変動の影響を受けやすい中古車販売業は、慎重に検討する必要があります。

【分社化の注意点】
ここまで読んで頂くと、別法人を設立して分社化することの素晴らしさがお分かり頂けるかと思いますが、節税効果が高ければ高いほど税務署から租税回避行為(≒脱税行為)と指摘される可能性が高くなります。そして、そうならないためには分社化する合理的な「理由」が必要です。新店舗の出店や整備部門の切り離しなど、分社化する理由を明確に説明できるようにしておくことが重要となります。

【最後に】
 私は新規開業や個人事業主の法人化(法人成り)のご相談があった場合、もちろん様々なメリットやデメリットについてご説明しますが、法人経営の最大のメリットは「代表取締役社長」になれることだとお伝えしております。1度きりの人生において、会社の代表取締役社長になれるチャンスがある人は、ごく僅かです。そして、2つの会社の代表取締役社長となると、さらに少なくなるでしょう。価値観は人それぞれですが、2種類の代表取締役社長の名刺を持つのも、決して悪くない気分ではないかと私は思います。

【筆者紹介】
税理士 酒井将人。
自動車業界特化型税理士事務所OFFICE M.N GARAGE代表。
自動車販売店などの経営サポートや業務改善に注力する傍ら、自動車業界活性化のための活動を行う。著書に『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A(セルバ出版)』など。

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