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2021年度5月の中古車輸出統計によると、輸出上位国のUAE、ロシア、ニュージーランド、チリ、南アフリカ共和国といった輸出上位国の実績は昨年同月を大きく上回っている。また、1月-5月の期間比においても前年同期を上回る輸出国が多く、中古車輸出の市況は回復したかに見える。
一方で6月の輸出抹消登録台数は前年同月、1月-5月の期間比ともに約10%少ない。一般的に通関統計は輸出抹消登録後の数字が反映されるため、翌月の輸出台数との関連性が高い。この点から6月の輸出統計では一転して減少する可能性もある。そのことを考えると、中古車輸出は回復したとは言い難く、回復の兆しが見えてきたというのが現状と思われる。
海外ではワクチン接種も進み、先日はイギリスで6万人の観客がノーマスクで集まるスポーツイベントも開かれた。ハワイでも観光客が急増し、にわかにコロナ前の状況に戻りつつあり、世界では回復の兆しが見えている。しかし、日本では海外に営業に行けない状況が続いている。輸出仕向地は回復しつつあっても、渡航先や帰国後の隔離期間を考えると海外営業は現実的ではない。この状況を鑑みると輸出市況の本当の回復は年明けまでずれ込むかもしれない。
5月の中古車輸出統計に話を戻すとオーストラリアの輸出台数は着実に増加している。新車優遇規制により、中古車輸出の状況は変わっていないが、そのニーズは底堅いものがある。市場規模はニュージーランドが約20万台であり、新車と中古車の比率は大体半々。オーストラリアは約100万台であり、中古車が占める割合は1%にも満たない状況。30数年前はニュージーランドも今のオーストラリアと同じ状況であったことを考えると、新車市場を守るオーストラリアとしては簡単に中古車輸出には踏み切れない。言い方を変えれば、それだけ日本の中古車はニーズが高いだけに産業保護の観点では脅威とも言える。
課題となっていたコンテナ不足も若干の改善は見えるものの、以前の状況には戻っていない。中国行きのコンテナ需要は依然として高く、当面この状況は続くと思われる。
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