【2021年 年頭所感】日本自動車整備振興会連合会・日本自動車整備商工組合連合会 会長 竹林武…

2024年4月20日 [土曜日] 友引 |  西暦元号早見表 西暦元号早見表  |  サイトマップ サイトマップ

経営者・理事長年頭所感(2021年度)

【2021年 年頭所感】日本自動車整備振興会連合会・日本自動車整備商工組合連合会 会長 竹林武一


  • 会長 竹林武一

 新年あけましておめでとうございます。令和3年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を述べ、新年のご挨拶とさせていただきます。

昨年は、世界中の誰もが予期していなかった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、外出制限や営業・生産活動の停止といった厳格な公衆衛生上の措置が、経済、社会、政治などへ甚大な影響を与え、今までにない未曽有の経験を強いられました。未だ一部の地域では、感染が再び広がってきており、社会不安を引き起こしやすくなっております。

 世界経済を見ますと、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響で経済の回復は鈍く、成長率は低迷の長期化が予測されており、各国政府は財政出動して国民の雇用、事業、生活などの支援対策を延長している状況です。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済基盤である人や物などの流れが制約され、自由貿易体制の基盤が揺らぎ、保護主義が拡大しかねない状況にあり、特に米中間の更なる関係悪化や自国中心主義の広がりが懸念されます。

 我が国においては、令和2年に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ」に基づいて、新型コロナウイルス感染症の拡大により浮き彫りとなった課題・リスク・取り組みの遅れを克服し、ポストコロナ時代の新しい未来を実現するため、感染防止対策を講じながら経済活動レベルを段階的に引き上げていく局面にあり、医療提供体制等の強化、新たな日常を構築する原動力となるデジタル化への環境整備、社会変革の推進力となる人材育成の推進など、我が国が直面するコロナ禍のグローバル危機を乗り越えるための指針が示されました。また、開催が延期となりました東京オリンピック・パラリンピックによるイベント効果の押し上げや、5G(第5世代通信方式)の本格的普及が進み、世界経済が本格的に立ち直ることなどを背景に、景気の持ち直しが期待されています。

 自動車については、少子高齢化社会における交通手段の確保や交通事故の削減を図るため、安全運転を支援するシステムや限定した環境下において自動運転を行うシステムが車両に搭載され、最新の電子部品や装置が採用されてきています。また、自動車の検査や点検・整備の分野においても、電子制御装置整備やOBD検査について自動車の電子化への対応が進められています。加えて、継続検査ワンストップサービス(OSS)の更なる利用促進につながる自動車検査証の電子化が導入されるなど、自動車を取り巻く環境は自動車本体、自動車の検査や点検・整備及び、自動車を管理する様々な仕組みについてもデジタル化が進められています。

 整備業界を取り巻く状況においては、自動車の整備技術の高度化に向けた対応や、我が国が抱える人口構造問題により一層の厳しさが増している少子高齢化の影響で、若年労働者の採用難への対応も同時に求められ、整備業界を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。

 このように、整備業界が抱える課題は山積しておりますが、日整連・整商連としましては、自動車ユーザーの皆様が安全で快適にクルマをお使いいただくためのお手伝いをするという、整備業界としての社会的役割を十分に果たせるよう活動していくとともに、特定整備事業制度への対応、人材不足や後継者難への対応、自動車の新技術への対応等、将来に向けて業界の持続的な繁栄を目指し、業界全体の活性化と経営基盤の確立に取り組んで参る所存であります。

 日整連の取り組みの一端を申し述べます。界振興・活性化対策につきましては、「自動車整備業のビジョンⅡ」で示された整備事業者の取り組みを引き続き推進するとともに、自動車ユーザーが整備工場をインターネットで検索する営業支援施策を業界活性化として推進します。また、整備士確保対策としまして、自動車整備業PRやイメージ向上対策を実施し、関係機関・団体と連携して人材確保・育成対策を推進します。

 業界健全化対策につきましては、指定整備事業者の法令遵守の徹底を図るとともに、不正改造車の排除の徹底を図って参ります。また、道路運送車両法改正により創設された特定整備制度をスムーズに整備事業者が取得できるように各般の対応を推進して参ります。

 法制・税制対策につきましては、自動車関係諸税の負担軽減に向けた要望活動等を積極的に展開して参ります。

 ICT化促進対策につきましては、継続検査OSS申請における登録情報処理機関としての電子保安基準適合証システムを運用するとともに、OSSの利用促進に取り組み、継続検査OSS全体の普及拡大を図って参ります。

 環境保全や省資源対策につきましては、国の方針に基づいて策定したCO2削減の数値目標に基づき地球温暖化防止への対応を進めるとともに、リサイクル・リユース部品の利用促進を図って参ります。

 自動車使用者対策につきましては、国土交通省が実施主体となる「自動車点検整備推進運動」に参画し、同運動の一環として、「マイカー点検キャンペーン」を実施します。また、前検査車両対策としまして、点検整備を実施しないことの危険性や、点検整備の必要性等を説明したパンフレットを作成するとともに、You Tubeを利用した啓発活動を引き続き展開して参ります。

 整備技術の向上対策につきましては、整備主任者技術研修の一層の充実を図り、「スキャンツール基本、応用、ステップアップ研修」を推進することにより、自動車の電子制御装置等新技術への対応力の向上を図って参ります。

 さらに、自動車整備技能登録試験を各地方委員会の協力を得て厳正かつ公正に実施するとともに、自動車整備技術を通じた国際貢献や海外事業展開への支援等を目的とした外国人自動車整備技能実習評価試験や、自動車整備分野特定技能評価試験への対応を進めて参ります。

 一方、整商連におきましては、「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」を進めるために策定した「商工組合事業推進計画」を基に、組合員の事業の改善発展、また公正な経済活動の機会の確保を目指して、日整連及び各組合と密接に連携しつつ業界の近代化を促進し、経営基盤を強固にしていくため、経営支援事業、情報収集・提供事業、調査・研究事業等の諸事業を積極的に推進して参ります。

 経営支援事業の人材養成事業としては、商工組合及び振興会の事務局職員の資質向上を図るために、ステップ別教育として新人職員、管理職員を対象とした研修会を実施します。

 業界振興・活性化対策としては、日整連事業への協力及び新自動車整備業のビジョンの検討を行うとともに、事業承継方策の収集及び普及啓発、「売上を伸ばすためのサービスメニュー提案書Ⅱ」並びに「改訂版安全整備作業の手びき」の活用推進を図って参ります。また、自動車整備業の活性化方策の活用推進のため、具体的な取り組みを実施している地域、整備事業者への取材を引き続き行い、事例の収集を図ります。さらに、経営革新等支援機関として、生産性の向上等を目指す自動車整備事業者の経営力向上計画策定のために、職員実務研修のフォローも踏まえ、地方各商工組合等と連携してサポートするとともに事例の収集・紹介を行います。

 情報収集・提供事業としては、当会と組合事務局との電子情報(デジタルデバイス情報等)化の推進、活性化を図るとともに、関係法令、自動車整備関係諸情報の収集・提供を促進します。

 調査・研究事業としては、「外国人材の受入制度に係る監理団体・登録支援機関との連携」について、引き続き調査・研究を進めて参ります。

 商工組合事業のあり方に関する新たな提言については、「新提言に基づく事業推進計画」の実施の推進を引き続き図ります。

 自動車整備近代化資金につきましては、「残存求償権処理要領」等に基づく自動車整備近代化資金残存求償権の適正な回収及び整理に努めるとともに、各組合からの相談に対応して参ります。

 共同経済事業対策につきましては、各組合との意見交換を通じて組合の実態把握に努め、購販担当ブロック代表者会議を活用して組合の組織力とスケールメリットを生かしつつ、共同購買、出版及び代行等の諸事業を推進致します。

 なお、株式会社ベルティスと連携して開発したOSS連携サービスである「楽楽OSS」については、更なる利便の向上を図り、普及・促進に努め、自動車新技術対応機器や新たなOSS関連ツール等の取り扱いの検討を行って参ります。

 また、「共済制度活用検討会」を引き続き開催し、共済制度の普及・啓発活動の検討を行います。

 ETC及びETC2.0車載器セットアップ登録店の募集と適正な運営の推進については、引き続きセットアップ業務統括責任者研修を実施し、事業者の責務及び各セットアップ登録店の指導・管理の徹底を図り、各組合によるETCセットアップ登録店主任者講習会実施を推進致します。

 さらに、大規模災害が頻繁に発生している実情を踏まえ、関係組合及び組合員への支援に努めるとともに、BCP策定促進等災害対応の推進に努めて参ります。

 以上、本年の取り組みの一端を申し上げましたが、日整連・整商連としましては、業界全体の活性化と継続的な繁栄のため諸事業を推進して参りますので、会員・組合員の皆様には本年も当会事業に一層のご理解とご協力をお願い致しますとともに、関係ご当局をはじめ関係各位のご指導並びにご支援を切にお願い致しまして、年頭のご挨拶と致します。