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2017年、ニュージーランド(以下、「NZ」)では年間の中古車輸入台数が165,654台と過去最高を記録した。昨年と比べて特に輸入が増えた車種は、プリウスとリーフ。電気自動車に関しては、EV急速充電施設も増えており、テスラの車両が走っているのもよく見かけるようになった。
昨年9月のNZ政権の交代による移民政策の方向性の変化の可能性の発表によって、先行きの不透明感から消費者が節約思考になっていた影響も加担してか、繁忙期にも関わらず、現地中古車販売店の多くは在庫過多で小売り販売に苦戦していた。
NZの中古車販売業者の不振の原因は他にも二点ある。一点目はNZ現地のメーカー系新車ディーラーの中古車販売の強化、二点目はCtoC取引(個人間売買)の勢いの加速である。
前者について、以前はNZ国内で新車販売された車両の再販がほとんどだったが、新車ディーラーが日本から中古車を輸入するようになっている。展示場に並べている在庫の約20%が日本からの輸入中古車になっている新車ディーラーも出てきており、中古車の販売に力を入れてきていることから既存の中古車販売店は苦戦を強いられ始めていることが分かる。
後者(個人間売買)については、一般的にはNZの個人が現地で発生した二次流通車両の中古車を売買することが多いが、個人で中古車販売の事業者登録を行い、日本から中古車を輸入して自宅に数台車両をストックして販売するスタイルが年々増加しており、販管費を抑えた販売方法と価格競争により中古車販売店の商売は以前にも増して厳しい環境になってきているのが分かる。
当社が今年の1月下旬から2月上旬にかけてオークランド(北島)とクライストチャーチ(南島)を訪問した際には、全体の約2割の中古車販売店の販売が好調で、中には展示場の半分以上の在庫が売れてなくなっている業者もいた。一方で残りの約8割は、「NZで中古車販売業を行う企業が増えすぎた」、「個人間売買の価格に勝てない」等の理由で、小売りに苦戦している様子だった。
2年前までは販売が好調だった中古車販売店も、今では売れ行きが伸びずに悩んでいるところも少なくない。ただ、売れている業者と苦戦している業者の違いは明解で、それは「商圏」と「販売車両の品質」の差にある。
NZの中古車販売店は日本の輸出業者からオークション代行形式で車両を輸入することがほとんどのため、オークションに出品される台数や出品されている車両の品質が、NZ現地販売の仕入れと商品化コストに大きな影響を与える。NZの新車ディーラーの中古車販売強化や個人間売買の増加に伴い、既存のNZ中古車販売店の多くは小売りの価格競争に注力してしまっている。その中で販売利益を確保するため、車両の価格に比例して車両の品質も下がる傾向があった。一時的にはその価格の魅力からお客がつくが、車両品質の不満から、リピーターになってもらえない。新規のお客を取り続けないと商売が難しいサイクルに陥っているのである。
一方で販売が好調な中古車販売店は、「絶対に車両品質を落とさない」というポリシーを持って販売を続けてい る。コツコツとやってきたことが顧客の信頼を勝ち取り、月間販売台数の6割以上は顧客の乗換えで回っているお店も多い。
昨年はNZ国内の流通予想台数以上の中古車が日本から輸入されたため、2018年の日本からの中古車輸入台数は鈍化すると考えられている。現地で小売り販売力が強い中古車販売店を顧客として抱えている日本の輸出業者の輸出台数は伸びるかもしれない。ただ、在庫飽和状態のNZ顧客を抱える輸出業者にとっては厳しい年になると思われる。
2018年1月のNZの日本からの中古車輸入台数は、1万3719台(前年対比106.1%)で好調なスタートを切った。この背景にあるのは、2018年3月から新たに輸入規制として導入される、「輸入される排気量2000cc以上の中古車はESC(横滑り防止装置)不備の場合、NZで輸入・登録不可」という規制である。2月中の日本の通関港でのNZ向け輸出前検査の実施が新しい輸入規制の適用除外となったため、駆け込み需要が発生したのである。NZ向けの排気量2000cc以上の人気車両(例:エスティマやブレイド等)に関しては、すでにオークション相場にも下支えが薄れた価格の影響が出てきている。
NZ中古車小売市場の「プレーヤーの変化」、「価格競争」から厳しい中古車販売市場へと変化してきている。そんな中でも、販売力があり好調な現地の中古車販売業者からは、もっと多くの良質な中古車を輸入したいという声が聞こえてくるのも事実だ。NZのどの販売業者と繋がっているかが今年は益々重要になってくる。
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