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【オーストラリア最大の中古車オークションの現状】
オーストラリア最大の中古車オークショングループであるピクルスオークション(Pickles Auctions)は1964年に設立された。オーストラリアの沿岸沿い、および内陸各地に21ヶ所のオークション会場を持ち、年間22万台以上の中古車(建機含む)が固定価格での販売及び手ぜり形式(オンラインでの参加も可能)で取引されている。従業員数は750名に上り、勤続年数の長い経験豊富なスタッフが多いという強みを持つ。
オークションで取引される車両の約50%は乗用車であるが、建機などが多いのも同会場の特徴といえる。敷地内にはトヨタ専用会場が別フロアで運営されており、「Big Toyota Auction」も開催されている。出品の約9割はディーラーや政府関係・法人の社用車などであり、約1割がユーザーである。落札については、7割が販売ディーラー、3割がユーザーとなる。また、ユーザーによる落札が多いことから会場内に商談ルームを設け、ファイナンスサービスを行っているが、他の金融機関を利用されるケースが殆どである。オーストラリアでは、個人間売買の手続きが非常に簡易的なこともあり、中古車流通の中で大きな比重を占めているが、売買の安全性を求めオークションを利用しているユーザーもおり、保証サービスなどの付帯商品を提供しながら利用ユーザーを増やす工夫をしている。
【最新のオーストラリア中古車マーケット事情について】
VTホールディングスグループのScotts Honda。同店は、NSW州のホンダ販売店としては最大級のショールームと整備施設を備え、経験豊富な販売・整備スタッフを数多く配備。ホンダの顧客満足度調査では、常に最上位を維持しており、これまでに数多くの賞を受賞してきた。オーストラリアの自動車販売に関する概況について、Scotts Hondaの村中社長より詳細な説明を受けた。
オーストラリア国内で新車が生産停止になった場合、中古車のニーズは高まると思う、現在でも日本から輸入して欲しいという声をいただいている。オーストラリアは道幅が狭く、H‐RV(日本名ヴェゼル)など小型SUVの人気が高い。しかしながら、中古車の相場は高く、新車と金額が大きく変わらない。新車は、日本車の人気が圧倒的に高く、5割ほどのシェアで、中古車の販売は専業店が強い。
オーストラリアでは、中古車は三ヶ月の無料保証を付帯するという決まりがあるので、故障しやすい車は下取りしても販売せず、オークションに出品している。販売用にオークションで中古車を仕入れる場合は、日本車に限定している。中古車はネット上での個人売買が盛んで、全体の7割を占める。名義変更などの手続きが簡易的であり、車庫証明が不要ということが大きい。また、中古車輸入の関税は非常に高い。日本で、仮に100万円で流通している車は、オーストラリアの店頭では250万円ほどになる。車両価格に5%の税金と、関税で12000豪ドル、更に10%の国内消費税がかかる。高級車は、この他に贅沢税が33%かかる。1業者1車種年間100台までしか輸入できないというルールもある。
2018年から「新車と中古車の一部」について、関税が撤廃されると政府発表があった。経過1年以下、走行500Km未満の中古車は、個人であれば関税はかからずに輸入できるとされている。ただし、個人輸入はメーカー保証の受付ができないので、リスクは大きいと思われる。個人輸入は二年に1台の台数制限があるので、年間3万台ほどを想定している。新車の関税はFTAによって2018年に全て撤廃されることになっている。現在、新車はタイから100%輸入しているので関税はゼロ。品質チェックについては、日本にあるような第三者機関は存在しないので、オークション会場から状態や価格などの情報を入手しながら下取り価格などを決めている。
【視察を終えて】
オーストラリアの中古車輸入拡大に対する期待が大きな理由としては、日本製中古車の品質の信頼性が挙げられるほか、近隣国であるニュージーランドにおいて年間約12万台の中古車が日本から輸出されており、マーケット規模が5倍近くあるオーストラリアの成長性が見込めるからである。しかしながら、ニュージーランドの中古車輸入に関するルール改定は約25年の歴史をかけて確立されてきたものであり、オーストラリアでより多くの中古車が輸入されるようになるには自動車基準法改定の内容やスピードなど課題は多いと感じた。(取材レポート・松沢章博)
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