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消費者庁には年間で5万件もの表示に関する相談が入るという。この数字は減ることはなく、年々増え続けている。自動車公正取引協議会へも自動車関係の相談が年間6000件以上と聞く。不当表示に対する消費者庁の「措置命令」もここ3年ほどで倍増している。
こうした状況を受け、商品や広告の不当表示に対して「課徴金」が課せられることになった。(来春頃施行予定)消費者行政にとって大きな前進だと思う。これまでの景品表示法では、違反した場合、同庁より「措置命令」が行われていたが、不当表示を行なった違反者に対する処分は、再発防止策の提出や不当表示行為の速やかな取り下げ、メディアへの謹告文掲載にとどまっていた。但し、再違反の場合は、3億円以下の罰金が課せられるが、これまでに再違反を行い、罰金を課せられたケースは無い。
このため、不当表示行為があとをたたず、消費者利益が損なわれていた。今回の景表法改正では、違反商品の売上規模や違反行為の内容によるが、初回の違反から課徴金を課すというもの。課徴金とは、法律を違反して得た利益を全額没収するという性格のもので、違反者には非常に厳しい制度である。改正された景表法では、不当な売上の3%を没収するとされているが、少な過ぎるという声も多く、10%にすべきという声も出ているほどだ。
現時点で課徴金を課すことができる官庁は、金融庁と公取委。金融証券取引法と独禁法で、ともに違反した場合は、数億から数百億にのぼる巨額な課徴金が課せられるケースが目立つ。中古車業界で過去同庁より公表された「措置命令」は22件(22社)。走行距離過少表示、修復歴詐称、販売できない車両の表示等のいずれかである。これらは、「優良誤認」、「おとり広告」等とよばれ、違反すると不当表示の対象となる。
景品表示法で知っておきたいことは、その表示が例え過失であっても、それは考慮されない場合もあるということだ。これはつまり、「うっかり間違えました」では、通用しないケースもあるということで、重過失の場合などは、今後課徴金の対象にもなり得るだろう。 同法令が「施行」されてからの対応では、遅すぎる。消費者からの相談などを端緒として、不当表示行為が発覚すると、過去にさかのぼって調査が行われるからだ。
事業者が、既にやっておかねばならないことは、山ほどある。例をあげると、①自動車公正競争規約の理解と遵守、②中販連憲章の実践、③店頭プライスボードの全台チェック④広告掲載車両の全台チェック、⑤販売することの出来ない広告掲載車両の全台削除、⑥消費者への誠実な対応などが考えられる。消費者庁からも「事業者が講ずべき表示等の管理上の措置についての指針」が公開されているので参考にされたい。ある日突然、消費者庁や公取協から立入調査が入らぬよう、消費者保護と適正表示、コンプライアンスに対応することに早過ぎるということはない。(近藤厚志)
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