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年度末の3月31日、「2015年度税制改正関連法」が可決され、消費税率10%への引き上げ時期は、正式に2017年4月に延期された。昨年末の解散総選挙においても安倍首相が明言して周知の事実だが、今回正式に決定したことから、約2年の猶予期間を残して「消費税10%時代」が到来することになる。
今回の法案可決は景気判断に関わらず、確実に実施され、「再延期」という選択肢はないことを意味している。景気が悪化した際に増税を停止できる条項が削除されたからだ。
これは「有無を言わさず増税する」という、政府のはっきりとした意思表示でもあり、残された猶予期間をいかに過ごすかが、5年後、10年後の自社の経営基盤を左右する大切な「2年間」となることは間違いない。
「自動車」という高額商品を扱う中で、「消費税10%」の重みは大きく事業者にのしかかることになる。とりわけ中古車小売り市場においては、新車ディーラーによる中古車部門の強化、大型小売り店の販売ネットワーク拡大などで、すでに激動の時代に突入している。車販だけでなく、サービス(車検・整備)や鈑金・塗装、保険、割賦などといった一連の周辺部門を強化するのが特徴で、顧客固定化を図りながら、あらゆる場面で顧客との接点を持ち、基盤収益を確保出来る仕組みは顧客の囲い込みが強まる。
昨年にはカーコンビニ倶楽部の全国ネットワークを介した中古車の「個人間売買」ビジネスもスタートするなど、「消費税10%」を前に業界模様は多様化を極めている。
こうした中、今春にはJU中販連による「適正販売店制度」がスタートしたばかり。この制度にこれからの時代を中古車小売り事業者が生き残る術が凝縮されているという見方も出来る。「適正販売店」が全国1万社のJU加盟店に広がれば、異業種で例えると、全国津々浦々で均一の品質、サービスを提供するコンビニエンスストアのFC(フランチャイズチェーン)店のようなイメージだろうか。
コンビニ業界ではシェア争いこそ激しいが、「プレミアムコーヒー」の提供などで新たな付加価値を提供する姿が定着、最近では美味しいコーヒーに合うスイーツや大手ドーナツチェーン顔負けのドーナツを提供するなど、新たな領域でも好調が続いている。
適正販売店という制度は、うまく稼働すればこうした「強靭な」全国ネットワークを構築するきっかけとなり、個々の事業者の生き残りに大きく貢献することになるはずだ。業界関係者としては是非とも成功させて欲しい制度である。
泣いても笑っても「消費税10%時代」は2年後に迫る。残された期間を何もしないまま過ごすのも選択肢の1つだが、自社の将来像を改めて見つめ直し、強固な経営基盤の確立に向けて新たなアクションを起こすかをこの時期にじっくり考えておきたいところ。自社の将来を大きく左右する大波の到来は刻々と迫っていることは間違いない。 (室田一茂)
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